高齢者の製品事故が多発しています。事故事例を見ると、介護ベッドや電動車いす、石油・電気ストーブに関する重傷・死亡事故が目立ちます。高齢者の事故を防ぐには、本人が製品を正しく使用することだけではなく、周囲の協力も必要でしょう。
今回は、高齢者の製品事故の実態や事故の要因、事故防止対策についてご紹介いたします。どのような事故が発生しているのかを知り、高齢者の安全を守りましょう。
高齢者の製品事故の実態
高齢者の製品事故は年々増加しています。事故が確認されている製品はいくつかありますが、特に介護ベッド、電動車いす、石油・電気ストーブなどによるものが目立ちます。
では、どのような事故が発生しているのか、製品別でみていきましょう。
介護ベッドでは、ベッド周りの隙間に頭や手足が挟まり、重症・死亡したケースが発生しています。電動車いすでは、使用者の操作ミスや判断ミスにより転倒、転落、衝突し重症・死亡するケースが発生しています。別のケースでは、走行中にバッテリーが切れて電動車いすが停止後、転倒したり、電車と接触して重症を負う事故も確認されています。
石油・電気ストーブでは、住宅一棟を全焼、周囲の建物を八棟焼損する事故が発生しました。このケースでは石油ストーブのタンクに給油後、給油口キャップがきちんと締められておらず、灯油がストーブ周辺にこぼれていたようです。灯油が十分にふき取られていないまま点火したことにより、火災事故が発生してしまったのです。
高齢者における製品事故が発生する要因
高齢者による製品事故が発生しやすい要因はいくつかあります。一つ目は高齢者の身体機能の変化です。一般的に、高齢になるにつれて注意力が散漫になったり、判断力や身体能力が低下していきます。高齢者の事故では不注意や誤使用による事故が発生しやすいでしょう。年代別の事故原因を見てみると、10~50歳代では誤使用・不注意による事故は全体の19.6%。60歳代は20.9%、70歳代は26.1%、80歳以上は21.5%というように、70歳代の事故が目立ちます。そして高齢者の身体能力低下は、死亡事故といった重大な事故につながりやすくなる大きな要因です。
二つ目は、高齢者は経年劣化事故に遭いやすいということです。安全装置がついていない古い製品や故障したままの製品等、製品を長期間使用していることが多いでしょう。新しい製品に買い替えても使い方が分からず、自己流の使い方をして事故が発生するケースも少なくありません。
三つ目は、企業のリコール情報を得る機会が少ないということです。リコール情報は自社のホームページに掲載していることが多いでしょう。しかし、インターネットを利用していない高齢者はリコール情報を得ることができないので、リコール対象品の事故に遭いやすくなるのです。
高齢者の製品事故を防ぐには
高齢者の製品事故を防ぐ為にも、製品の正しい使い方や注意するべき点をよく理解しましょう。例えば、電動車いすでは日常点検を行ったり、使用前にバッテリー残量の確認をしたり、交通ルールを守ることが大切です。悪天候や夜間は事故が発生しやすくなるので、電動車いすの使用を控えるべきです。
高齢者の製品事故防止では、周囲の人の対策も重要です。まずはどのような事故が発生しているのかを知りましょう。
例えば、一見危険性がないような介護ベッドでも使い方次第で事故が起きる可能性があるからです。
他にも高齢者が使用している製品がリコール対象になっていないか、製品が故障していないか等の確認も必要です。身体能力低下により製品の使用が危険だと判断した時は、周囲の方が使用を止めさせなければなりません。
超高齢社会と呼ばれる現代では、今後ますます高齢者における製品事故が増加すると思われます。高齢者本人だけではなく、周囲の人も注意を配らなければならないのです。
まとめ
・介護ベッドや電動車いす、石油・電気ストーブに関する事故が目立つ
・身体機能の低下、経年劣化事故に遭いやすい、リコール情報を得る機会が少ないことが事故発生の要因
・事故を防ぐ為にも正しい使い方や注意点を理解する
・リコール情報や製品が正常に作動していているのかの確認等周囲の対策も必要
参考サイト
◆政府広報オンライン 暮らしに役立つ情報 ここにご注意!高齢者の製品事故
◆経済産業省 高齢者に係る製品事故動向
◆nite 独立行政法人製品評価技術基盤機構 安全な暮らしを高齢者と共に~事故を防ぐ注意ポイントを紹介~