日本は洪水などの被害を受けやすいことから、一人ひとりが水防について意識を高めることが必要という考えのもと、5月(北海道は6月)は水防月間に指定されています。
近年、西日本豪雨や令和元年東日本台風など、大規模な水害が発生しています。梅雨や台風のシーズンを迎えるにあたって、家庭における水害への備えを見直し、いざというときに命を守れるようにしておきましょう。
ハザードマップでリスクを知る
災害が発生したとき・災害の発生が予想されるときは、自分の命を守ることを最優先に行動してください。そのためにも、まずは自分が住んでいる場所の災害リスクを知ることから始めましょう。
洪水や土砂災害が起こったときの自分の住んでいる場所の被害の範囲と程度を、ハザードマップ(被害予想地図)を用いて確認します。続いて最寄りの避難場所を確認し、避難ルートを決めましょう。避難ルートを決めるときはハザードマップを参考にし、ルート上にリスクとなる場所がないかどうかも確認してください。
ルートは地図上で確認するだけでなく、実際に歩いてみることが大切です。危険な箇所を発見した場合は、別のルートを検討しましょう。
水嚢・土嚢の準備
水嚢や土嚢には、家の中に水が浸入することを防ぐ役割があります。玄関や家の周りに置いて、隙間を埋めるように配置します。周りの土地よりも低い場所は、重点的に置いてください。配置する時は結び目部分を互い違いにしながら平らになるように積んでいくと、隙間を少なくすることができます。
水嚢や土嚢の備蓄量は、各家庭によって異なります。実際に水の侵入経路となりそうな場所に置いてみて、どの程度の数が必要なのかシミュレーションしておくとよいでしょう。
水嚢や土嚢は、袋が経年劣化すると十分な役割を果たせないことがあります。水防月間を利用して状態を確認しておきましょう。
水嚢や土嚢は、家にあるものを使って作ることができます。ゴミ袋(45リットル)を2重にして半分水を入れて口をしっかり縛ると、簡易の水嚢となります。段ボールがたくさんある場合は、段ボール箱の中に簡易水嚢を入れて配置すると、隙間を埋めたり積み上げたりしやすくなります。
下水の逆流に備える
大雨が降ると下水管が満杯になり、室内にある排水溝から汚水が逆流してくることがあります。汚水の逆流による被害を最小限にするためにも、水嚢や土嚢を使って排水溝を塞ぎましょう。キッチン・お風呂・洗面台・トイレ・洗濯機用の排水溝など、家中の排水溝を塞ぐと効果的です。
トイレの排水溝を塞いだり、トイレの汚水が逆流してきたりする場合は、トイレを使用することができなくなります。簡易トイレを準備しておくことも忘れないでください。
排水溝の掃除
外回りの排水溝がつまっていると排水が遅れてしまい、洪水を引き起こす原因になります。台風や大雨の予報が出ている時は、排水溝の掃除をして落ち葉や泥などをかきだし、排水性をしっかり確保しておきましょう。マンションに住んでいる方は、ベランダの排水溝の掃除を行ってください。
一見してきれいな排水溝でも、よく見ると泥がこびりついていたり、小さな葉っぱや草がつまっていることがあります。細部まで確認を怠らないでください。
掃除をするときは、ホームセンターや100円均一で売っている棒付きのたわしを使用すると、手も汚れずに簡単です。また、こまめに掃除をすることで、一回の掃除が楽になります。水害予防のためにも、定期的に掃除をする習慣をつけましょう。
大切な物を移動しておく
浸水被害は低い場所から起こります。浸水被害が予想されるときは、貴重品・電子機器・大切なもの・思い出の物などを、できる限り高い場所へと移動しておきましょう。戸建てに住んでいる場合は、1階よりも2階以上の方が被害に遭いにくくなります。アパートやマンションの1階に住んでいる場合は、タンスの上や食器棚の上などなるべく高い場所に移動します。なお、高い場所に物を置くときは、落下してケガをする恐れがあります。ロープで縛るなど落下防止策を取り入れましょう。
災害級の大雨や台風が近づいているときは、避難をして命を守ることが優先です。つまり、物を移動する時間を確保することが難しいと言えるでしょう。天気予報を確認し、大雨や台風の予報が出ている場合は、余裕をもって物を移動しておくようにしましょう。
まとめ
・ハザードマップを確認し、水害リスクについて理解を深める
・水嚢や土嚢を準備しておく
・下水の逆流に備えた準備をしておく
・排水溝の掃除を行い、排水性を確保しておく
・浸水被害から大切な物を守るためには、事前に高い場所へと移動しておく