医薬品や化粧品等の個人輸入は危険を伴います。個人輸入した製品を使用したことで健康被害(疑い)を生じた事例がいくつもあります。旅先やインターネット上で個人輸入する時は、必要性や危険性を考えなければなりません。海外で流出している製品は、日本の安全基準を満たしているとは言えないからです。有効性や品質が確認されていないものもあります。正規品を偽った偽物の場合、色や形は本物そっくりに作られている為、素人には、正規品かどうかの判断は難しいでしょう。
今回は、個人輸入にはどのような危険性があるのか詳しくご紹介いたします。
個人輸入の危険性
国内で流通している医薬品や化粧品等は、医薬品医療機器等法によって品質が確認されています。ですが、有効性や安全性が確認されている国内の製品と違い、海外の製品は品質の確認がされていません。
海外で流通している医薬品や化粧品等に考えられる危険性は次の通りです。
・正規品を偽った偽造品
・不衛生な環境や方法で製造され不純物が混入している
・健康食品やダイエット食品と謳う製品に医薬品成分が含まれている
・効果が得られないだけではなく有害な物質によって健康被害が生じる
・個人情報が流出する
旅先での購入やインターネットでの取り寄せ等の個人輸入はリスクが高いでしょう。あやしいヤクブツ連絡ネットによる意識調査によると、インターネット上には偽造品が出回っていることは認識しているものの、自分自身が購入したものは本物であると認識している人が多いことが判明しました。
事実、正規品と偽造品を見分けるのは困難です。正規品を偽った製品の場合、色や形は正規品とそっくりに作られているからです。また海外製品は、効能や使用上の注意等が外国語で記載されています。仮に理解できたとしても、記載内容が誤っている可能性があります。
個人輸入による健康被害の実態
医薬品や化粧品等を個人輸入したことで健康被害が生じた事例があります。
厚生労働省によると、シンガポールから男性用サプリメント(未承認無許可医薬品)の個人輸入し、摂取していた男性が鉛中毒を診断された事例があります。男性は令和元年の夏より製品を服用し、令和3年2月以降、腹痛や頭痛、手の震え等の症状が表れました。医療機関を受診して治療を開始したところ、現在は体調が回復しています。男性が個人輸入した製品には、鉛が多量に含まれていました。
ダイエット目的でタイ製の医薬品を個人輸入したことによる健康被害も生じています。症状は動悸やふらつき、四肢の麻痺等です。入院を要する事例だけではなく、死亡した事例もありました。健康被害事例は全国で10例以上にのぼります。
他にも、美白目的で海外製クリームを使用し、健康被害(疑い)が発生したケースもあります。このケースでは20代の女性が当該製品を使用した際、アレルギー反応によって大水疱が生じています。医療機関で処置を受けたことで現在では軽快しています。
事故事例を見てもお分かりいただけるように、個人輸入には危険性が伴います。健康被害(疑い)によって死亡例もあることから、医薬品や化粧品等を個人輸入する必要性を考えると共に、医師や薬剤師に相談することが必要です。
まとめ
・海外の医薬品や化粧品等は品質の確認がされていない
・海外の製品は偽造品だったり不純物が混入している等の危険性がある
・正規品と偽造品を見分けるのは難しい
・医薬品や化粧品等を個人輸入して健康被害が生じた事例がいくつもある
・個人輸入には危険性が伴う
・個人輸入する時は必要性を考えること