今回は平成28年4月に発生した熊本地震について、地震の概要・断層(活断層)・余震の状況・南海トラフとの関係などをみてみたいと思います。
熊本地震で被災され未だに避難生活をしておられる方も多いことから、ご自身の住む地域の断層(活断層)について知る機会としてください。
熊本地震の概要
はじめに熊本地震の概要を確認しておきましょう。
数値は平成29年3月14日現在のものです。
・発生日時:平成28年(2016年)4月14日21時26分 及び 同年4月16日1時 25 分
・震央:熊本県熊本地方
・最大震度:震度7(熊本県 益城町、西原村)
・地震の規模(マグニチュード):M6.5(4月14日) M7.3(4月16日) ※どちらも暫定値
・地震型:内陸型地震
・被災範囲:熊本県 大分県 福岡県 佐賀県 宮崎県
・人的被害:死者211人 重軽傷者2746人
熊本地震と断層
断層とは、地層や岩盤の途中にくい違いが生じている箇所を指します。
活断層とは、数十万年前から現在まで繰り返し活動し、将来も活動する可能性がある断層のことです。
※活断層については防仁学のコチラの記事で詳しく解説されています。
3.11特集 首都直下型地震にも対応! 活断層などによる地震を知るための取組
熊本地震の震源断層は、布田川断層帯と日奈久断層帯と考えられています。
布田川断層帯は、阿蘇山の外輪西側に位置する南阿蘇村から宇土半島まで延びる活断層です。
日奈久断層帯も同じく活断層で、熊本県益城町付近から鹿児島県との県境にある八代海まで続いています。
このふたつの活断層は熊本県益城町で接しているため、布田川・日奈久断層帯と呼ばれることもあります。
布田川・日奈久断層帯の全長は101kmと考えられ、九州最長の断層帯です。
熊本地震・余震の状況
気象庁は熊本地震後の8月19日に、「最初の地震以上に大きな揺れがないという印象を持たれかねない」として、「余震」という表現を用いないことを発表しました。
そのため、現在熊本県で観測されている地震が「熊本地震の余震」と言えるかは、表現の妥当性という観点から検証の余地を残しています。
熊本県熊本地方で、2017年1月1日~3月6日までに観測された震度3以上の地震は合計5回ありますが、他の地域に比べて極端に多くはありません。
熊本地震と南海トラフの関係
日本地図を見てみましょう。
南海トラフは四国の南方、太平洋の海底にある深い溝で、北端は駿河湾まで延びています。
そしてこの南海トラフはとても活発に活動しているため、非常に大きな地震(南海トラフ地震)の震源になると考えられています。
一方、熊本地震の震源とみられる布田川・日奈久断層帯から北東方向に、愛媛県の佐田岬半島、香川県と徳島県の県境、三重県の伊勢、長野県の諏訪を結び、そこから茨城県の鹿島まで東に向かうラインを、中央構造線を呼びます。
南海トラフ地震では中央構造線の太平洋側(外帯)に甚大な被害が予想されることからか、
今回の熊本県地震との関連がインターネットなどで取り上げられていますが、気象庁をはじめ日本の行政機関は、2017年3月現在においてこのふたつを関連付けていません。
情報の発信元がどこかを見極め、流言飛語に惑わされないように注意しましょう。
まとめ
・平成28年の熊本地震は4月14日と4月16日に起きた地震の総称であり、最大震度7、地震の規模(マグニチュード)は、6.5(4月14日)、7.3(4月16日)と考えられる
・熊本地震の震源断層は、布田川・日奈久断層帯と考えられる
・2017年1月1日~3月6日までに熊本県熊本地方で観測された震度3以上の地震は5回で、他の地域に比べて極端に多くはない
・日本の行政機関は、2017年3月時点において熊本地震と南海トラフとを関連付けていない
※参考サイト
◆熊本県熊本地方を震源とする地震に係る被害状況等について - 内閣府
◆気象庁 平成28年(2016年)熊本地震の関連情報
◆活断層とは何か|国土地理院
◆2016年熊本地震に伴い発生した断層の特徴
◆気象庁|地震情報