4月13日「災害拠点病院、BCPを義務化 厚労省、熊本教訓に」との報道がされました。
「防仁学」ライターの萩野様が熊本地震特集として「災害拠点病院」に関する記事を書きましたのでご紹介致します。
(以上「防仁学」編集部記)
災害時における病院機能の確保は、被災された方の命を救い、怪我の痛みをやわらげるためにもとても大切ですね。今回は、災害拠点病院とはどんな病院なのかと、災害拠点病院に指定されるためにはどんな要件を満たしている必要があるかを、簡単にご紹介します。
災害拠点病院とは
大規模な災害が発生した場合、該当の各都道府県内や近県だけでは被災者に適切な医療行為を実施できない可能性があります。
災害拠点病院はこのようなときに、医療救護チームの派遣、傷病者の搬送や応急手当、治療のための資器材の貸出しなどが行える病院のことで、各都道府県にある医療審議会などの承認を経て認定されます。
また、要件を満たしているかは毎年都道府県によって調査され、基準に満たない場合は災害拠点病院の指定が解除されます。
災害拠点病院は原則的として各都道府県ごとに、「基幹となる災害拠点病院」と「地域の災害拠点病院」が指定されていて、災害時においては都道府県知事の要請により傷病者の受け入れや医療チームの派遣などを開始します。
平成7年(1995年)に発生した阪神・淡路大震災の翌年、「災害医療支援拠点病院」の設置が提言されたのを発端として整備が進められていましたが、東日本大震災での対応において、課題が明らかになったことを受け、平成24年に「災害時における医療体制の充実強化について」の中で、次の記載する指定要件に改められました。
災害拠点病院の指定要件
平成24年3月 に厚生労働省医政局より発出された「災害時における医療体制の充実強化について」では、災害拠点病院の指定要件として次のように記述されています。
① 24 時間緊急対応し、災害発生時に被災地内の傷病者等の受入れ及び搬出を行うことが可能な体制を有すること。
② 災害発生時に、被災地からの傷病者の受入れ拠点にもなること。なお、「広域災害・救急医療情報システム(EMIS)」が機能していない場合には、被災地からとりあえずの重症傷病者の搬送先として傷病者を受け入れること。また、例えば、被災地の災害拠点病院と被災地外の災害拠点病院とのヘリコプターによる傷病者、医療物資等のピストン輸送を行える機能を有していること。
③ 災害派遣医療チーム(DMAT)を保有し、その派遣体制があること。また、災害発生時に他の医療機関のDMATや医療チームの支援を受け入れる際の待機場所や対応の担当者を定めておく等の体制を整えていること。
④ 救命救急センターもしくは第二次救急医療機関であること。
⑤ 地域の第二次救急医療機関とともに定期的な訓練を実施すること。また、災害時に地域の医療機関への支援を行うための体制を整えていること。
⑥ ヘリコプター搬送の際には、同乗する医師を派遣できることが望ましい。
まとめ
・災害拠点病院とは、大規模な災害などによって通常の医療体制では十分な医療行為が行えない場合に、 医療救護チームの派遣や傷病者の搬送などを実施できる機能を有した病院を指す
・災害拠点病院は各都道府県の医療審議会などによって認定され、毎年都道府県から要件を満たしているか監査を受ける。
・災害拠点病院は阪神・淡路大震災を契機に整備され、東日本大震災での課題をふまえて指定要件が改められた
・災害拠点病院の指定要件には、施設や設備、医療チームの保有などが細かく定められている