新社会人はまだ年若いことが多く、「自分が直面しているトラブル」「自分が直面しているハラスメント」を不快だと思いつつも「社会人ならばこれくらい耐えなければならないのでは?」と自分を追い込んでしまいがちです。
しかしこれは精紳の病をもたらしたり、体調をくずしたりすることにもつながります。
今回はさまざまなハラスメントのなかから、「モラハラ」を取り上げます。
モラハラとはどんなものか
「モラハラ」とは、マリー=フランス・イルゴイエンヌという精神科医によって唱えられ始めた単語です。
これは、「直接的な暴力を伴わない精神的な暴力を指し、言動や態度によって他者の人権を傷つける行為」と位置付けられています。
モラハラは、家庭内でも職場内でも起こりえます。
家庭内では「お前は頭が悪い」「あなたは稼ぎが悪い」「すぐに離婚を切り出す」などのような言動が見られます。
対して職場での場合は、
・業務上必要とされているにも関わらず、持っている情報を共有しない
・無視、もしくはそれに類するような行動を頻繁に行う
・職場全員が参加する集まりを隠し、1人だけのけ者にする
・そんな成績でよく在職していられるね、その心臓の強さが羨ましいよといったような悪口を言う
・分担して行うべき雑用を言いつけ、本来の仕事をさせない
というようなケースが見受けられます。
モラハラとパワハラの違い
このような「職場内いじめ」とでもいうべきモラハラは、しばしば「パワハラ(後述します)と混同されます。
ただ、モラハラはパワハラとは異なり「部下や目下の立場の人間に対して、その力を行使して行われるもの」ではありません。そのため同僚同士でモラハラが行われたり、また部下が上司を無能扱いして無視をしたりするなどの行為もモラハラにあたります。
モラハラの悪質なところは、「人の心の尊厳を、少しずつ削り取っていく」ということにあります。1回や2回悪口を言われても人は気にしませんが、毎日このような振る舞いをされれば、人の精神は非常に摩耗していきます。
肉体的な暴力を伴うものではなく、不当な人事処置がなされるわけでもないので、正式な訴えを起こしにくいのも特徴です。
まとめ
・モラハラは家庭内でも職場内でも行われる
・無視をしたり、仲間外れにしたり、悪口を言ったりする。ただし、肉体的な暴力や不当な人事処置は伴わない
・モラハラは、「上司→部下に対して行われるパワハラとは異なり、対同僚・対上司に対しても行われる
参考サイト
◆日本の人事部:「職場の「ハラスメント」(パワハラ・モラハラ)の予防・対処法
~基礎知識から、予防・再発防止策までのポイントを解説(後編)~」
◆こころの相談室:「パワハラとモラハラの違いとは?職場で確認したい特徴と対策」