今回は、呼びかけに反応無く、呼吸して無いように見える、又は気道確保して、呼吸の確認後、呼吸をしていなかった!場合の動きと流れをお話しします。
ガイドライン2010
救急救命を行う状況とは
ガイドライン2010より、目視(呼吸音、胸、腹の盛り上がりなど)だけでも、”呼吸をしていない”と判断したら、胸骨圧迫を開始します。30回実施して、次は、レスキュー呼吸(人口呼吸ですね)を2回実施します。この時、ほとんどの人が犯してしまうポイントを紹介します。
レスキュー呼吸(人工呼吸)を失敗しないためには
自分では、結構な勢いで息を吹き込んでいるつもりなのに、一向に胸が盛り上がらないといった経験はありませんか?(救命講習経験者の方で)
原因は、気道確保すなわち頭部後屈顎先挙上が出来ていないのが一つ、もう一つは、マウスシールド越しでも“口で口を覆う”というのをバックフローフィルター(呼気逆戻り帽子弁)を口で覆ってしまうことです。
これをしてしまうといくら息を吹き込んでも、口とフィルターの隙間から漏れてしまいます。
あともう一つは、シールドやハンカチで覆われてしまった鼻を塞ぐ事を忘れてしまう事です。
主にこの3つですね。でも、大体の方が、この点を気付かせると上手く吹き込めるようになります。
優先すべき肋骨圧迫
もし、気付かずに“あれー!入らない!!”と思っても、ここで思い出してください。優先するのは成人の場合は胸骨圧迫ですよね!(溺水や窒息、小児を除く)。
そうです、ここで何回も人工呼吸に拘ってはいけません。2回実施して入らなかったら、すかさず胸骨圧迫に入ります。胸骨圧迫の中断時間は約10秒といわれています。この10秒で人工呼吸をします。
いかがですか?短いですか?これは、私の感覚ですが、緊迫している状態の時ほど、もどかしいくらい長く感じます。医療従事者の2次救命コースに行きますと、この10秒で、気管挿管したり、頸動脈で直接触診して心電図モニターを診て鑑別診断といって、心停止のリズムを診断して与薬する薬を決めていきます。でも一般市民コースでは、与薬以外は全てAEDがやってくれます。
人工呼吸から話が逸れましたが、胸骨圧迫を中断している10秒で、上記した注意事項を思い出して、やれるように技術を高めてみてください。
これが、現場から救急隊、救急センターまで一貫して行われれば、かなりの確率で救命率が上昇すると思われます。
救急救命の重要性
米国の南北戦争から語り継がれる教訓で“負傷者の運命は最初に包帯を巻く者の手に委ねられる”と言われるものがあります。これは、突然の心停止などの病気も同じで、最初に発見した人、手助けしようと決めた人の心意気と初期の対応の大切さを感じさせるものです。
これから救命講習を受けられる方は、ここに書かれていることに気を付けて、更新講習の方は、マンネリを吹き飛ばす意味で、自分の技術に精度を上げてみたらいかがでしょうか?
次回は、いよいよAEDについて、少し詳しくお話ししようと思います。
まとめ
・意識不明、呼吸の無い時は通報とともに、救急救命を開始する
・レスキュー呼吸(人工呼吸)はポイントを押さえれば上手く出来る
・優先すべきは胸骨圧迫
・救急救命が適切に行われれば、生存率が上がる