今回は、表層雪崩(新雪雪崩)や全層雪崩(底雪崩)の仕組みと、行政が行っている雪崩対策について簡単に紹介いたします。
平成5年~平成26年までの雪崩の発生件数を月ごとに累計すると、雪崩が最も多いのは2月(165件)で、次いで1月(97件)、3月(57件)となります。
同じ資料で12月の雪崩発生件数が28件なのは季節を考えれば頷けますが、4月でも25件、5月に2件と、1年の半分以上にわたって日本の何処かで雪崩が起きているというのは驚きですね。
雪崩の多い日本では、現在どのような対策がとられているのでしょうか。
雪崩とは
雪崩(なだれ)は、「なだる(傾る)・なだれる(傾れる)」を語源としてできた言葉だと言われています。
「なだる・なだれる」の意味は、「勢いよく押し寄せる」「流れ下る」「かたむく」などです。
言葉の意味が示すとおり、雪崩とは「山の斜面に積もった大量の雪が麓に向かって急激に流れ落ちる現象」を指します。
表層雪崩と全層雪崩の仕組み
雪崩を分類する方法はたくさんありますが、今回は表層雪崩(新雪雪崩)と全層雪崩(底雪崩)に分けて簡単に解説いたします。
表層雪崩(新雪雪崩)とは、もともと積雪のある山の斜面などに新たに雪が積もり、主にその新雪の部分が滑り落ちる雪崩を指します。
表層にあり、また比較的軽いため時速100~200kmとスピードが速く、より遠くまで到達するという特徴があります。
主な発生時期は1~2月です。
全層雪崩(底雪崩)とは、斜面にある雪の最も底の部分から表面まで(全層)、一気に流れる落ちる雪崩を指します。
全層雪崩があった斜面では、土砂崩れのように山肌がえぐられているのが特徴です。
到達距離が短く速度も時速40~80kmですが、表層雪崩よりも固くて重たいため家屋などにより甚大な被害を与えることがあります。
全層雪崩は3~5月の融雪期に発生することが多い雪崩です。
行政の雪崩対策
それでは、日本の行政機関はどのような雪崩対策を行っているのでしょうか。
ハード面の雪崩対策としては、雪崩の発生が予想される場所・雪崩の走路・集落の手前などに、あらかじめ柵状の構造物を設置する方法がとられています。
ソフト面での雪崩対策は、各都道府県や市区町村のホームページでの雪崩ハザードマップ(危険箇所の情報)の公表や、担当職員によるパトロールなどが行われています。
山間部などで雪崩が心配な方は、お住いの市区町村や各都道府県に問い合わせてみましょう。
まとめ
・雪崩とは、山の斜面にある大量の雪が、麓に向かって一気に流れ落ちる現象のこと
・雪崩は12月~2月に多いが、融雪期にあたる3~5月も注意が必要
・雪崩には表層雪崩(新雪雪崩)と全層雪崩(底雪崩)がある
・行政が行っている雪崩対策には、防護柵の設置・ハザードマップの公表・パトロールなどがある
参考サイト
◆最大で時速200㎞ものスピードに!雪崩(なだれ)から身を守るために:政府広報オンライン
◆雪崩防災 国土交通省
◆雪崩についての解説 - 国土交通省