みなさんは、国内における雪崩の危険箇所が2万箇所以上あることをご存知でしょうか?毎年、冬の時期には雪崩に巻き込まれて行方不明になったり、命を落としたりする事故が発生しています。
雪崩による事故は、豪雪地帯に住む方々だけの問題ではありません。スキーやスノーボード、雪山登山等のレジャーで観光地を訪れた方も雪崩による被害に遭っているからです。雪崩は最大時速200kmのスピードになると言われています。雪崩の脅威から身を守るには、一体どのようにすればいいのでしょうか?今回は、雪崩について詳しくご紹介いたします。
雪崩について
雪崩とは、斜面上の雪や氷が重力によって下方に流れ落ちる現象のことです。例年、雪崩に巻き込まれて行方不明になったり、命を落とすといった被害が発生しています。雪崩が発生しやすい月は1~3月です。国土交通省の月別雪崩発生件数(平成5年から令和2年までの累計)を見ると、最も多く発生しているのは2月で183件、次いで1月の110件、3月の77件でした。
雪崩は、表層雪崩と全層雪崩の二つに分けられます。表層雪崩は積雪の表層面(新雪)がすべり落ちる現象のこと。1~2月頃の厳しい寒さの季節に発生することが多いでしょう。スピードは時速100~200kmとなり、新幹線並みの速さだと言われます。
一方、全層雪崩は表層雪崩とは違い、積雪の全てが流れ落ちる現象です。気温が上昇する春先に発生しやすいでしょう。スピードは自動車並みの時速40~80km。
二つの雪崩を比べると、表層雪崩は速度があり、より遠くまで流下、そして破壊力が強大なので広い範囲に被害をもたらします。過去には大規模な表層雪崩が数キロ流下し、大災害を引き起こしたケースが発生しています。
雪崩が発生しやすい条件について
まずは雪崩が発生しやすい場所についてですが、30度以上の急斜面が危険だと言われています。最も危険なのは35~45度。傾斜30度とは、スキーの上級者コースと同じくらいです。
それから低木や灌木、草地、裸地の斜面も雪崩が発生しやすくなります。特に、笹や草に覆われた箇所は危険です。
次に発生条件についてですが、表層雪崩では積雪がある状態で更に短時間での大量の降雪があった時に注意しましょう。他にも0度以下の気温で吹雪や強風が発生している時や斜面に雪崩の前兆と言われる雪庇(せっぴ)や吹き溜まりがある時も警戒が必要です。
全層雪崩では、気温が上昇した時や斜面に雪のひび割れ、亀裂ができている時は危険です。過去に雪崩が発生した箇所にも警戒しましょう。
雪崩は発生しやすい場所に一定の発生条件が加わることで、危険度が更に高まります。
雪崩の前兆現象にも気を付ける必要があります。
前兆現象は次の通りです。
・山の尾根から張り出した雪庇と呼ばれる雪のかたまりがある
・雪崩予防策から張り出した巻きだれと呼ばれる雪がある
・斜面に平らに雪が積もっている
・スノーボールと呼ばれるコロコロとしたボールのような雪のかたまりがある
・斜面に雪のひび割れがある
・雪に雪しわと呼ばれるシワ状の模様がある
前兆現象がある時は雪崩発生の可能性があるので、より一層注意しましょう。
雪崩から身を守るには
雪崩の危険個所は2万箇所以上ありますが、雪崩の被害に遭う可能性があるのは豪雪地帯に住む方々だけではありません。スキーやスノーボード、冬山登山等のレジャーで観光地に訪れ、雪崩に巻き込まれることがあるからです。
雪崩から逃げることは難しいこと。雪崩から身を守るには、雪崩とはどのようなものなのか、発生しやすい場所や条件等、雪崩についてよく知っておくことが重要です。
気象情報や自治体の情報をチェックし、防災意識を高めることも雪崩から身を守ることにつながります。
万が一雪崩に巻き込まれてしまったら、荷物を外し端へ逃げましょう。雪の中にいる時も諦めず、まずは顔の周辺に空間を作り、呼吸を確保するようにします。そして周囲から声が聞こえたら大きな声を出して助けを求めましょう。
まとめ
・雪崩は斜面上の雪や氷が重力によって下方に流れる現象のこと
・1~3月に発生しやすい
・雪崩の最大時速は200km
・雪崩には表層雪崩と全層雪崩があるが、表層雪崩の方が被害が大きくなりやすい
・雪崩は30度以上の急斜面、低木や灌木、草地、裸地に雪崩が発生しやすい
・雪崩は発生しやすい場所に発生条件が加わることでより危険度が高まる
・雪崩に対する知識を深めることが身を守ることにつながる