雨天の時によく履く長靴はとっても便利ですよね。
長靴なら少々の水たまりなら全く問題なく歩くことができますし、靴下が濡れることも無いので比較的快適に移動することができます。
しかし、大雨や洪水・台風などで浸水から避難をするときには長靴を履いて移動することは「厳禁」であることをご存知でしたでしょうか?
今回は過去の災害から教訓として語り継がれている「浸水時は長靴厳禁」の理由について調べてみました。
長靴が危険な理由
戦後最凶台風からの教訓
1959年(昭和34年)の伊勢湾台風をご存知でしょうか?
愛知県や三重県などで死者・行方不明者合わせて5,000人以上という戦後最大の被害をもたらした最凶の台風です。
この伊勢湾台風の時、高潮よって引き起こされた浸水から避難する際に、なんと長靴を履いていた方々ばかりが多く亡くなったとの証言がありました。
この頃から「浸水避難時には長靴厳禁」と言い伝えられてきたそうです。
最近ではテレビのニュースでも「避難するときに長靴は履かないでください」と注意喚起していることがありますよね?
長靴は構造上、下や横からの水には強いですが、上から入ってくる水にはめっぽう弱いという性質があります。
これは長靴が中に水を入れないために完全に防水されているため、逆に入ってきた水を外に出すことができないためです。
長靴の丈より高い水の中では、長靴の中に入った水が「重り」になってしまい、歩きにくくなるどころか全く歩けなくなってしまうことがありえます。
浸水を引き起こすほどの水害が発生している時には、水かさがごくごく短時間で急に上がることがありえます。
ゆえに浸水からの避難時には、たとえまだ水かさが低い場合でも、長靴を履いて避難することは「厳禁」というわけです。
浸水時避難のポイント
歩きやすい靴と杖(長い棒)を
では浸水からの避難時にはどのような装備で避難するのが望ましいのでしょうか?
まず、靴はできるだけ履き慣れたスニーカーなどがいいでしょう。
長靴のように水を中に溜め込まない素材の履きものにしてください。
靴下は濡れることを覚悟し、可能であれば替えの靴下やタオルを持ちましょう。
濁流で足元が見難かったり、水で予期せぬものが流れてきたりすることがあるので、裸足やサンダルは厳禁です。
同じ理由で、出来るだけ靴底は厚いものが好ましいとされています。
何か異物を踏んでしまっても、怪我を負わないことが大事です。
浸水避難時には転倒の危険が非常に高まります。
できるだけ傘は開かずに、杖として持つことをお勧めします。
可能であれば傘よりも、杖(スキーのストック)などの長い棒を持つことが望ましいでしょう。
というのも、浸水時には水圧でマンホールの蓋が流されてしまうことがたびたび発生します。
蓋の無いマンホールからは水が吹き出すため視認しにくくなり、まるで大きな落し穴のようになって非常に危険な場合があるのです。
杖や長い棒をもつことで転倒のリスクを軽減するだけではなく、濁流によって底が見えない道を移動する場合にも異物や穴を避けながら移動することができます。
できるだけ浸水していない高台の道を選択することも重要です。
たとえ避難先まで遠回りでも、できるだけ浸水していない道を選んで避難してください。
荷物は手で持たず、リュックサックや肩掛けのカバンを選択してください。
水害に関わらず、避難時には両手を空けて使えるカバンを使いましょう。
ついつい雨=長靴と連想しがちですが、浸水からの避難時には適していません。
むしろ長靴を履くことで命の危険を伴いますので、避難時の長靴は「厳禁」と覚えておきましょう。
また、傘ではなく杖(長い棒)を使うことも併せて覚えておいてください。
万が一に備え、玄関に避難時に履く用の「靴」と「杖」をセットで用意しておいてはいかがでしょうか?
まとめ
浸水からの避難時は、たとえ水かさが低くても長靴を履くのは厳禁
- 裸足・サンダルは怪我のリスクが高まるので厳禁
- スニーカーなど水を中にため込まない素材で、できるだけ厚底の履物を
- 転倒予防のために杖(長い棒)を持って移動すること