地震大国である日本では、数十年のうちに大規模な地震が起こるのではないかと危惧されています。その一つが南海トラフ地震と呼ばれる地震です。
南海トラフ地震は、どのあたりで発生する地震なのでしょうか。また、起こったときにはどのような被害が予想されるでしょうか。
南海トラフ地震とは
南海トラフ地震は、南海トラフと呼ばれる駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界で起こる地震のことです。
南海トラフ地震が起こる仕組みには、プレート活動が深く関わっています。南海トラフではフィリピン海プレート(海側プレート)がユーラシアプレート(陸側プレート)に1年間に数センチずつ沈み込んでいますが、陸側のプレートがそのひずみに耐えられなくなって跳ね上がったときに、大きな地震が発生します。
南海トラフ地震は「広い地域で起こる」「隣接した地震で立て続けに起こる」「同じような地域で繰り返し起こる」という特徴があります。1707年に起こった宝永地震では、駿河湾から四国沖にかけて被害が発生し、2万人を超える方が亡くなりました。1854年には安政東海地震が起こった32時間後に安政南海地震が発生し、合わせて死者数千人、家屋の倒壊・焼失数万個という被害を出しました。また、南海トラフを震源とする地震は、1605年(慶長地震)、1707年(宝永地震)、1854年(安政東海地震・安政南海地震)、1944年(昭和東南海地震)と、一定の周期で発生していることがわかっています。
南海トラフを震源とする大規模な地震は、安政東海地震以降発生していません。つまり、現在いつ発生してもおかしくない状況にあるということです。命を守るためにも、どのような範囲でどのような被害が出るのかを知り、日頃から備えておくことが大事なのではないでしょうか。
どのような被害予想が立てられているの?
政府の中央防災会議は、最大級の南海トラフ地震(南海トラフ巨大地震)が起こった際に、どのくらいの被害が発生するのかという予想を立てています。それによると、静岡県から宮崎県にかけて、一部の地域では震度7の揺れが発生する可能性があるとされています。また、それに隣接する広い地域では、震度6強から震度6弱の揺れが発生する可能性があると考えられています。津波の被害も予想されており、関東から九州にかけての太平洋沿岸では、10メートルを超える津波の襲来があるとされています。
被害予想の具体的な数字は地震が発生した場所や条件によって変わるものの、死者が10万人~20万人以上、負傷者が最大で50万人以上、要救助者が数十万人以上という衝撃的な内容となっています。家屋の全壊・半壊・焼失、停電、断水、交通網の麻痺による帰宅困難者の発生、物流の滞りなどの被害も入れると、より多くの地域や人が被害を受けるでしょう。
これらの被害予想は、千年に1度かそれよりも発生頻度が低い大地震が発生したときのことを予測したものであり、必ずこれだけの被害が発生するというわけではありません。しかしながら、地震は命に直結するとても怖い災害ですから、万が一のときに自分の身を守れるようにしておくことが大切です。まず、基本的な防災対策はできていますか?大規模地震が起こった時の避難場所や、津波が襲ってきたときの避難場所を、ハザードマップで確認しておきましょう。避難ルートの確認や、非常用持ち出し袋の準備、食料の備蓄なども行っておきましょう。外出先で被災することや帰宅困難者になることも考え、日頃持ち歩くものも見直しておきましょう。
まとめ
・南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界で起こる地震
・被害が広範囲に渡って発生することがある
・数十時間から数年の間に、立て続けに発生することがある
・一定周期で発生しており、現在いつ発生してもおかしくない状況である
・南海トラフ巨大地震が起こった場合は、数十万人の方が命を落とす可能性がある
・揺れ、津波、建物の全壊や焼失が広範囲で起こる
・日ごろから防災対策をしよう
参考サイト
◆気象庁「南海トラフ地震とは」
◆気象庁「南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さ」
◆内閣府政策統括官「南海トラフ巨大地震の被害想定について(建物被害・人的被害)」