南海トラフ巨大地震について、11月より「新情報制度」が導入されることになりました。
そもそも南海トラフ地震とは、どこで発生して、どんな地域に、どんな災害をもたらすのでしょうか?そして、その具体的な対策はどうすればよいのでしょうか?
情報が色々とありすぎて、わかりにくくなっている南海トラフ地震について、
①どの地域でどのような被害が起こるとされているのか?
②具体的な備えの方法は?
③『新情報制度』とは何か?その情報をどのように活用すればよいのか?
の3回シリーズで考えて来ました。
第3回目の最後は、11月より運用が開始された「新情報制度」についてまとめ、その活用方法をお伝えします。
どんな内容が発表されるのか?
情報には「定例」と「臨時」の2種類があります。
「定例」とは月に1回発表される情報で、地震や地殻変動の専門家6名で構成された「評価検討会」の定例会合を開き、その際に検討された結果が公表されます。初回の定例会合は、11月27日に開催予定とのことです。
一方、「臨時」とは、南海トラフ沿いで“異常な現象”が観測され、巨大地震と関連するかどうか「調査を開始した」場合、その調査の結果、巨大地震の発生の可能性が高まったと「評価された場合」などに発表されます。
この“異常な現象”とは、
①南海トラフ沿いでマグニチュード7.0以上の地震が発生した場合
②東海地域に設置されている「ひずみ計(岩盤がどのくらい動いたかを計測する機器)」が普段とは違う変化を観測した場合
などを想定しています。
この臨時情報は「1号」「2号」という順番で発表され、「1号」で異常現象を受けての調査開始の発表が、「2号」でその結果が公表されるという見込みです。
これらの情報は、気象庁のホームページで確認することができます。
「気象庁・南海トラフに関する情報」
情報により取るべき行動とは?
この新情報制度の現段階の問題点として、「情報を受けての住民や自治体の対応が明確化されていない」ということが挙げられています。今後、新たな対応策などが発表されることと思われますが、しばらくの間は自分たちで対応を考えなくてはならないというのが現状です。
では、私たち住民一人一人が取れる、具体的な対応策にはどのようなものがあるのでしょうか?
①臨時情報発表時に、いつでも避難できるような体制を整える習慣づくり
臨時情報は、地震発生と同様に突然やってくるものです。1号では、マグニチュード7クラスの地震発生や地殻変動の変化が起こったタイミングで発表されますので、巨大地震の「前触れ」という可能性があります。このタイミングで、いつでも避難できる体制を整えておくこと、家族同士で連絡を取り合うことなど、いざという時に備えての最終確認のタイミングと捉えておくとよいでしょう。
②家庭の状況を考慮して、避難のタイミングや避難場所を事前に考えておく
小さなお子様や高齢者のいるご家庭では、避難に相当な時間を要することも考えられます。そのようなご家庭では、1号情報が発表された時点で避難を開始するなど、早め早めの対応を取っていくことが非常に大切です。
また、避難場所によっては乳幼児や高齢者に不向きな環境である場合もあります。(横になれるスペースがない、椅子がない、トイレが少ない、など)避難場所についても、事前にチェックして、避難後の生活も快適に過ごすことができるのか?という観点で考えてみましょう。
ご家族の体力などを考慮して、率先して避難していくことが命を守ることに直結します。
③定例情報も定期的に確認する習慣づくり
定例情報は、月に1回発表される予定です。情報を定期的に取り入れることは、日々の防災意識を保つのに大変重要な行動です。
何の変化もなくても、「変化なし」という情報を取り入れることにより、異常が発生した場合の情報に敏感に反応できるようになります。
④大地震時への備えの事前チェック
情報制度に関わらず、日頃の大地震時への備えは大丈夫でしょうか?巨大地震となれば、津波からの避難の前に、家屋倒壊や家具の転倒で下敷きになり、避難したくてもできないという状況にもなりかねません。また、部屋中のモノが散乱することによって、なかなか家から脱出できないという状況も想定されます。
まずは、家屋の耐震化と大型家具の固定、そしてモノが散乱しないような整理整頓を心がけ、命を守る備えをしていきましょう。
まとめ
・新情報制度とは、定期的に発表される「定例」と、異常現象が起こった際に発表される「臨時」の2種類がある
・「臨時」情報が発表されたら、避難できる体制を整える。各家庭に応じて、早め早めの避難を率先して行うことが、命を守ることに直結する
・「定例」は定期的にチェックして、防災意識を保つことが大切
参考・引用サイト
◆気象庁:「南海トラフ地震に関連する情報の種類と発表条件」
◆和歌山放送ニュース:「南海トラフ地震関連情報、きょうから提供開始」