厳しい暑さが続く日々。心配になるのは子どもの熱中症ではないでしょうか?熱中症は悪化すると意識混濁やけいれんなどの全身症状が表れ、最悪の場合、命を落とすことがあるほど危険なものです。東京監察医務院の発表によると、東京都の平成30年の熱中症による死亡者は164名、令和元年には116名というように毎年100名以上の方が命を落としています。
子どもは大人よりも熱中症になりやすいと言われています。それでは子どもが熱中症になったら、どのように対処すればいいのでしょうか。今回は、熱中症の予防法や応急処置などまとめてご紹介いたします。
子どもの熱中症を予防する方法について
子どもの熱中症を予防する為に、6つポイントを抑えましょう。
一つ目は、小まめな水分補給と塩分補給です。喉の渇きを感じた時には多くの水分が失われている状態なので、そうならないように小まめに水分補給を行うようにすることが大切です。また、一度に大量の水分を摂ってしまうと身体に負担がかかってしまうので、水筒やペットボトルを持参し、複数回に分けて少しずつ水分補給するようにするといいでしょう。水分補給する際は、適度に塩分補給する為にもイオン飲料や経口補水液がお勧めです。お茶や水では、体内に水分が吸収されにくいので注意しましょう。
二つ目の予防法は衣服の調節です。気温や湿度に適した通気性のよい服を着るようにしましょう。外出時には、帽子を被ることを忘れないようにします。
三つ目は、日の当たらない場所で小まめに休憩することです。夢中になって外遊びをしているうちに脱水状態になったり、熱中症になったりすることがあります。子どもは自分自身の体調の異変に気が付かないことが多いのです。体調管理を子ども任せにせず、保護者の方が様子を見ながら適度に日陰で休むことが大切です。
四つ目は、子どもの体調に気を配ることです。顔が赤くなっていたり、大量の汗をかいていたり、普段と違う様子はないか小まめに確認するようにしましょう。小さい子どもの場合は、おしっこの量や回数にも気を付けたいところです。
五つ目は、適切なクーラーの使用です。猛暑が続くと、屋内や車内でクーラーを使用する人は多いのですが、冷房が効きすぎた部屋で過ごしてばかりいると暑さに対応できなくなります。冷房によって様々な不調も表れるので、クーラーは適度に使用すると共に外遊びをして強い身体を作るようにしましょう。
最後のポイントは、ベビーカーについてです。赤ちゃんを乗せたベビーカーは日向に置いてはいけません。ベビーカーに乗っている赤ちゃんは地面に近い場所にいる為、大人よりも過酷な環境下にいることを忘れてはいけません。
子どもは体温の調整機能が未発達なので、大人よりも熱中症になりやすいでしょう。また身長が低いことにより、地面からの照り返しの影響を受けやすいことも熱中症になりやすい原因の一つです。熱中症は、最悪の場合命を落とす恐れがあるほど危険です。子どもが熱中症にならないように、保護者の方が注意する必要があります。
応急処置の方法
暑さによって頭痛やめまい、たちくらみ等を訴えてきたら軽い熱中症の疑いがあります。軽症では、顔色は蒼白し大量に汗をかき始めます。更に熱中症の症状が重くなると手足の痛みやだるさ、吐き気、呼吸が早くなる、脈がゆっくりになる等の症状も表れます。体温は上昇しますが、汗の量は重症になるほど減ります。
熱中症の症状がみられたら、まずは体を冷やすようにします。
応急処置の方法は下記の通りです。
・頭を低くした状態で涼しい場所に寝かせる
・衣服を緩める
・イオン飲料や経口補水液を少しずつ飲ませる
・わきの下や首元を冷やす
・冷やした濡れタオルで体を拭く
もし意識障害やけいれん、汗が出ない、40度以上の体温、皮膚が赤くなる、皮膚が乾燥する等の症状があれば危険な状態なので、速やかに119番通報します。救急車が到着するまでの時間も引き続き、体を冷やすようにしましょう。
子どもを守れるのは身近な保護者だけです。熱中症は防げる疾患なので、発症させないよう努めましょう。
まとめ
・体温の調整機能が未発達な子どもは大人よりも熱中症になりやすい
・水分と塩分補給を小まめにして予防する
・気温や湿度に適した通気性のよい服を着る
・日の当たらない場所で休憩する
・保護者の方が子どもの様子をよく観察する
・適切にクーラーを使用する
・熱中症の疑いがあれば身体を冷やすようにする
・症状が重い場合は速やかに救急車を要請する
参考サイト
◆キャップスクリニック「こどもが熱中症になったら?症状と対処法、予防法を解説」
◆国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 熱中症(熱射病)子どもの熱中症とは
◆公益社団法人 日本小児科学会 こどもの事故と対策 熱中症
◆東京都福祉保健局 東京都監察医務院 令和元年夏の熱中症死亡者数の状況【東京都23区(確定値)/[参考]多摩島しょ地域(確定値)】