スマホやPCさえあれば、24時間いつでも取引できるネットバンクは便利ですよね。一方、その便利さに付け込んだ詐欺、不正送金が多数発生しています。警察庁によると、2015年の不正送金の発生件数は1495件で金額にして約30億円にも上っています。本記事では、ネットバンキングの不正送金の手口と対策方法をご紹介します。ネットバンキングを利用している方もこれからネットバンキングを利用しようと思っている方も、一度そのリスクを知り、健全な利用につなげてください。
ネットバンキングの仕組み

まずは、ネットバンキングの仕組みをざっくり見ていきます。
ネットバンキングは、その名の通りインターネット上に銀行口座を作るもので、ネットバンキングの口座を開設できる金融機関に申し込んで行います。スマホやPC等インターネット回線にアクセスできる端末があれば、24時間いつでも口座にアクセスし、取引が可能です。基本的に、街にある銀行ATMで行えることはネットバンキングでもできます。できないことは、現金をネットバンキングから引き出すことぐらいです。
まずは、現金をどこかのATMや銀行窓口からネットバンキングの口座に振り込んだり、現在持っている違う銀行口座の預金をネットバンキングの口座に振り込んで、ネットバンキングに預入を行うのが基本です。
ネットバンキングに預金があれば、例えば夜中にインターネットショップで買い物をした時に、その支払いをネットバンキングの口座から振り込むことで行えるので、インターネット上での取引が広まる現代においてネットバンキングは非常に便利な金融機関と言えます。また、ネットバンキングの預金金利は、従来の銀行口座より高めの場合もあり注目を集めています。
ネットバンキングの詐欺方法と対処法

ネットバンキングでの詐欺方法はたくさんあるし今後も増える可能性が強いですが、基本的には個人情報を騙しとるところから始まる場合が多いです。理由は、ネットバンキングもまた、個人情報で守られているからです。
ネットバンキングの自分の口座にアクセスするためには、まずはPCやスマホでネットバンキングのサイトにアクセスします。そこから、IDやパスワード、口座番号や店番号等を入力することで、自分の口座に入れます。また、口座のお金を送金したり振り込んだり等やり取りをするためには、別途パスワードが必要になる場合が多いです。
こうして、たくさんの個人情報で自分のネットバンキングの口座は守られているわけですが、その個人情報を誰かに知られたらどうなりますか?その誰かは、ネットバンキングサイトにアクセスして、その個人情報を入力すれば簡単に他人の口座にアクセスできます。よって、ネットバンキングのお金を盗もうという悪意ある人は、まず個人情報を得ようとする場合が多いのです。
では、以下で個人情報を騙し取られる代表例を紹介します。
偽ソフトをインストールさせられる
メール等で突然、「セキュリティのためこちらのソフトをインストールしてください」「あなたのスマホがウイルスに犯されています、こちらのソフトをインストールして駆除してください」等送られてきたら要注意です。
そのソフトをインストールしてしまうと、ネットバンキングのサイトにアクセスした時、画面に気づきにくい異変が現れます。例えば、従来はIDとパスワードだけで自分の口座にアクセスできたのに、口座番号を入力する欄等いつもよりたくさんの個人情報を入力するよう要求して来ます。
いつもより多いその欄に入力して実行キーを押すと、インターネットを通じてソフトをインストールさせた悪意ある相手等にその個人情報が送信されるのです。
こうして個人情報を取られ、悪意ある相手が勝手に自分のネットバンキングの口座にアクセスしてくるのです。
いつもよりたくさんの個人情報を入力する欄があれば、注意です。取引をやめて銀行に問い合わせる必要があります。また、メール等でソフトのインストールを促された場合は、すぐには応じないで銀行に問い合わせてください。
フィッシングサイト

フィッシングサイトのタイプはたくさんあり、今後も増えるでしょう。例えば、本物のネットバンキングのサイトと瓜二つの偽サイトに、偽サイトとは気が付かず本物サイトでするように個人情報を入力すると、悪意ある相手にその情報が送信されるというものです。模倣して作ったサイトでも、アドレスまでは模倣できませんので、アドレスをしっかり確認してください。また、アドレスの最後に「.org」とあれば要注意です。
それ以外にも、ブランド物を普通の半額以下で販売する等気をひくようなショップサイトが実は偽サイトであり、これはお買い得と思い購入しようとして支払いのために入力した口座番号等が、悪意ある第三者に送信されるというものもあります。
銀行口座番号等を入力する画面では特に、正規のサイトかどうかアドレス等でご確認下さい。また、ショップサイトにお金を支払ったはずなのに商品が届かない場合等は、そのサイトの評判等を調べてください。
個人情報を聞いてくる金融機関
自分がネットバンキングの口座を開いている金融機関の名を語り、「確認のため」「セキュリティ向上のため」等と称して、電話やメールで個人情報を聞いてくるという詐欺もあります。金融機関が、電話やメールで個人情報を聞いてくることはないのでご注意ください。
口座の金額を定期的に確認する
個人情報をだまし取られないようにすることと合わせて、ネットバンキングの口座の残高や口座のアクセス記録を確認する習慣も重要です。
インターネット取引が当たり前の現代、どんなに気を付けていてもいつの間にか個人情報を取られていた、流出していたということもあり得ます。
ネットバンキングの口座のお金が、自分の感覚以上に減っているとかアクセスした記憶のない日にアクセスした記録があれば、調べてみる必要があります。調べた結果、自分の知らない誰かが自分の口座にアクセスしているようであれば、即刻銀行に相談してください。実害があれば、警察に通報しましょう。
まとめ
・個人情報の管理を徹底する
・ソフトをインストールするようメールで求められたら、銀行に確認する
・ネットバンキングのサイトでいつもよりたくさんの個人情報を入力するよう求められたら、銀行に問い合わせる
・個人情報を入力する場面では、正規のサイトかどうかアドレスをしっかり確認する
・銀行等金融機関が電話やメールで個人情報を聞いてこない
・口座の残高やアクセス記録を定期的に確認する