夏の日本海と冬の日本海を比較すると、全く異なった顔をもっています。夏場は穏やかで、海水浴客も家族で訪れて楽しんでいます。また、磯釣りなど海の直ぐ傍、と言うより海の中で釣りをしていても問題ありません。ですが、冬場になると一変し、海に近寄るのも怖いほどです。どうして、冬場の日本海は荒れるのでしょう。
瀬戸内海が1年中穏やかな理由
先ず、瀬戸内海と日本海を比較すると、日本海と違って瀬戸内海は、一年中穏やかな海です。これには「閉鎖性海域」に大きな理由がります。閉鎖性海域とは、周囲を陸地に囲まれた海を意味しています。確かに、本州・四国・九州の各陸地に囲まれて、外洋とは全く異なる環境となっています。瀬戸内海の平均水深はなんと、約38m。最大水深でも約105mと本当に浅い海なので、荒れることもないのでしょう。
瀬戸内海は自然に恵まれて気候が穏やかなので、瀬戸内海沿岸部には多くの方が居住しています。つまり、瀬戸内海は地形的な要因で、一年中穏やかな海となっている訳です。
日本海の特徴
一方で日本海はと言うと、平均水深は1,667mであり、瀬戸内海の約44倍の深さです。また、日本海の海洋構造は約300mの深さを境に、表層とそれ以外で分けることができます。そして何よりも日本海には有名な、黒潮である対馬海流が南から北方向に流れています。黒潮は、海の水の色が黒っぽい濃い青色をしている所から名付けられました。海面を流れる速さは毎秒2mほどで、流れています。
日本海が冬に荒れる理由は「日本海側気候」による
日本海が荒れる理由には、日本海側気候と呼ばれる気象条件にあります。日本海側は、冬になると北西季節風によって、雨や雪が多く降るようになります。その原因の一つに、先に紹介した対馬海流の影響があります。季節風による雪は、シベリア気団が日本海を渡る際に、暖かい黒潮である対馬海流によって温められて、水分が蒸発します。その湿気によって雨や雪を降らす結果をもたらせています。季節風はそよ風でなく、強風なので海面も荒れてしまいます。これらの条件が全て重なって、冬は日本海が荒れるのです。
兵庫県では南部と北部では生活が全く異なる
兵庫県は南北に長い県で、南は瀬戸内海、北は日本海に面している県です。ですから、南部に住む方と北部に住む方とでは、生活習慣が全く異なってきます。特に冬場は、瀬戸内側では考えられないことが、日本海側では当たり前となっているのです。有名なのは「弁当と傘」の話でしょう。これは、山陰地方、日本海側の地域でよく言われる言葉です。「弁当忘れても傘忘れるな」この言葉の由来は、天候がいつ変わるか分からないので、傘はどんなことがあっても持っていけ。と言われています。それほど、山陰、日本海側の地域では冬は天候が変わりやすいのです。
話を戻すと、兵庫県の北部に位置する豊岡市では、この弁当と傘は当たり前のように言われています。ですが、南部に位置する姫路市ではこのようないい伝いはありませんし、冬場でも雪はほとんど降らず、天気も天気予報どおりなので、傘を毎日気にすることもありません。
慣れていないと冬場の日本海側では釣りはできない
冬の日本海の波は、尋常ではありません。瀬戸内海しか知らずに育った方が、冬の日本海を見ると身震いするでしょう。それだけ波の高さも、威力も桁違いなのです。そのような日本海に、瀬戸内海でしか釣りをしたことのない方が、釣りをしに行くのは無謀です。冬の日本海で釣りをするのは、慣れた方でないと無理でしょう。
まとめ
・瀬戸内海は一年中穏やかな海
・日本海が荒れるのは日本海側気候による
・日本海を流れる対馬海峡と季節風によって雨や雪が多く降る
・「弁当忘れても傘忘れるな」など瀬戸内と日本海では常識が異なる
参考サイト
◆第八管区海上保管本部 釣りをする方へ
◆ウキペディア 瀬戸内海
◆瀬戸内ネット
◆旅の情報 地理の世界から 太平洋側と日本海側の気候の特徴と原因