晩御飯の食材が少し足りないなと思った時やお弁当のおかずを急いで準備したいときに冷凍食品があるととっても便利ですよね?
冷凍しているから早々に腐る心配もありませんし、解凍する時は電子レンジを用いたり油で揚げたりするので食中毒に対しても比較的安心だと考えられがちです。
しかし、2016年10月31日神奈川県で販売されていた冷凍メンチカツを食べた17人が腹痛や血便といった食中毒の症状を訴え、一部の患者から大腸菌O157(オー・イチ・ゴー・ナナ)が検出されました。
冷凍していても安全とは限らないO157のご家庭でできる対策方法を調理師監修のもとご紹介します。
腸管出血性大腸菌O157とは
毒素を吐き出す病原菌
O157はベロ毒素を吐き出す事で、内蔵などの細胞を傷つける腸管出血性大腸菌です。
その名の通り、大腸内を傷つけて出血させることがあります。
大腸菌は健康な人の腸にもいる菌なのですが、O157をはじめO26やO111などいくつかの大腸菌は赤痢菌と同じようなベロ毒素を大腸内で生成する「悪い大腸菌」です。
症状としては4~8日ほどの潜伏期間の後に血尿や下痢、激しい腹痛などがあげられます。
子供やお年寄りなどはまれに合併症を引き起こし、死に至るケースもある怖い菌です。
毒素が脳に届くと脳出血を引き起こす可能性もあり、1996年岡山県で起きた小学校給食集団感染事件で感染していた女性が長い闘病生活の末に2016年亡くなられています。
本来は牛の糞便などから検出される大腸菌で、レタスの葉の表面といった環境でも2週間生存する生命力があります。
加えて、100個程度の少ない菌の数でも感染症状を引き起こす強い感染力を持っていて、免疫力の低い子供やお年寄りにとっては危険な存在です。
8℃以下の温度になると増殖をやめる傾向がありますが、一度精製されたベロ毒素は100℃以上の温度で30分以上加熱しなければ無くならないため、解毒を行う事が難しいとされています。
O157自体は75℃以上の温度で1分以上加熱すれば殺菌されます。
同じように食中毒を引き起こすノロウイルスは85℃以上の温度で1分以上過熱すれば殺菌できるので、調理段階でしっかり過熱して口に入れる前に退治する事が重要です。
参考リンク:自衛隊でも食中毒が発生! 調理師が教える家庭でのノロウイルス予防方法
冷凍食品の調理方法
手料理と同じく火の通りを確認
O157は牛肉等に含まれている事がある病原体ですが、一度調理されている冷凍食品にも潜伏している可能性があります。
冷凍されている状態でもO157は活動を止めているだけで生きており、温かくなれば再び増殖を始める事が出来るので、高温でしっかり殺菌する必要性があるのです。
コロッケ等の揚げ物を作る時に、冷凍食品を揚げる場合は表面上サクッと綺麗にきつね色となっていても、中心部は充分に火が通っていない可能性があります。
調理が必要な冷凍食品は、調理前にレンジや冷蔵庫の解凍機能などで十分に温めてから調理するようにしましょう。
自然解凍はリスクが多いですので、できるだけレンジか冷蔵庫を使いましょう。
もちろん、レンジや冷蔵庫の清掃もこまめに行ってください。
揚げ物の場合は油をあまり高温にしすぎると短時間で表面が揚がってしまうため、中までしっかり火が通っていない場合があります。
食べる前にお箸を刺すなどして、中まで火が通っている事を確認しましょう。
電子レンジを用いる時も食べる前に熱が通っているかを確認し、中までしっかり温まっていないと感じたら温め直して中心部まで熱が通る様にしましょう。
生肉や生魚、生卵など「生」の食材を扱った時には次の作業に移る前にしっかり手洗いや調理器具の清掃をしましょう。
せっかく過熱して殺菌しても手や調理器具経由で食材に菌がうつってしまっては元も子もありません。
また、調理前・食事前の予防対策も大切です。
必ず石鹸を用いて手洗いをする様にしましょう。
野菜などの食材は念入りに流水で洗ってから調理すれば表面に付いた土塊などから感染する恐れを軽減することができます。
消費期限が切れた食材は危険なので、食べない様にしましょう。
こまめにゴミを出すことも大切です。
調理器具や台所のふきんから感染する場合もありますので、こまめな熱湯消毒などで清潔な環境をたもってください。
食中毒は日々の努力で感染を防ぐ事が可能です。
O157を退治して、安心安全な食卓を楽しみましょう。
まとめ
◆O157は感染力の強い病原菌
◆O157は熱に弱いが冷凍には強い
◆日頃から清潔をこころがけ、感染予防することが大切