以前から高齢者を中心に、送り付け詐欺の被害が発生しています。国民生活センターのPIO-NETによせられた相談件数は、2017年で5500件に上っています。年々減少傾向にはあるのですが、送り付け詐欺被害の件数は0から程遠いです。また、時代に合わせて手口も微妙に変化しています。
本記事では、最近の送り付け詐欺の手口を見たり、高齢者の方が送り付け詐欺被害に合いにくくするための周囲の気遣いをご紹介します。ぜひ、送り付け詐欺被害防止にお役立てください。
送り付け詐欺の手口

送り付け詐欺とは、その名の通り、頼んでもないものを送り付けてきて代金としてお金を払わせる詐欺です。商品としては、健康食品や魚介類等の生ものが多いようです。
この見だしでは、送り付け詐欺の手口を見ていきます。手口を知っているだけでも、詐欺を見破りやすくなりますよ。
営業や支払い請求の電話がある

送り付け詐欺では、まずは商品の営業電話がかかってくる場合が多いです。そして、その営業を断ったにも関わらず、後日商品が送られてくるのです。
この時、自分の記憶に自信がない方やとっさの判断力の衰えた高齢者等は、「断っていなかったのではないか」とか「自分に支払い義務がある」とか「とにかくお金を払いさえすれば面倒から解放される」等と思い、支払い手続きへと進んでしまう場合も多いです。息子娘夫婦や孫たちと同居している場合、「ご家族の方が注文された」と言われて、お金を払ってしまうこともあるようです。
また、営業電話等の前触れもなく、いきなり「商品を送りました」と電話してくる例もあります。例えば、違う業者であれ以前健康食品を買ったことのある高齢者は、「健康食品を送った」と言われると、「その時何か購入したかもしれない」惑わされてしまうので注意です。
支払いは現金書留が増えている
送られて来た商品に対して、以前はその場で運送業者に代引きでお金を払う場合が多かったです。最近では、運送業者による販売業者へのチェックが厳しくなったとされ、代引きでの支払い件数は減っています。
支払い方法として最近増えているのが、現金書留による支払いです。送られてきた商品に、宛先と金額の記入された現金書留用封筒が入っており、この封筒に現金を入れて送りつけ詐欺業者のもとに送らせるのです。また、銀行振込によって、送り付け詐欺業者の口座へ商品の支払いとしてお金を振り込ませる場合もあるようです。
支払いを断ると高圧的に支払い迫ってくる
電話口で支払いを断るにせよ商品到着後支払いをせずに放っておくにせよ、送り付け詐欺の業者は高圧的に支払いを迫ってくることが多いです。
電話口なら、悪態をついたり怒鳴ったりして身体の弱い高齢者を怖がらせ、支払いへ進ませることもあります。
また、「支払わなくていいけどキャンセル料が発生する」と言ってきたり「商品を受け取らない、支払いをしないのは法律違反だ、裁判沙汰にする」「あなたのためにたくさんの業者が動いている、多額の損害が発生する」等、こちらが法律を犯しているやら支払い義務があるようなことを言ってくることもよくあります。
支払いをせずに放っておいた場合、後日電話がかかってきたり電報が送られてきて、しつこく支払いを要求してきます。また、販売業者ではなく、「弁護士協会の者」等第三者的な立場、それも権威ある立場の者を名乗って、払うように警告してくることもあります。
それ以外にも、「全額でなくていいから一部料金を払ってほしい」等、妥協案のようなことを言ってくる場合もあります。体力の落ちた高齢者は、根負けしたように支払ってしまうこともあるようですが、そもそも払う必要のないお金です。
送り付け詐欺に合わないために

まず、高齢者の方に、送り付け詐欺の手口を教えてあげることで、詐欺業者に遭遇した時に詐欺を見破りやすくなります。法律を持ちだされたり法律関係者を名乗られたりしても、焦る必要がないことを教えてあげましょう。
もしも商品を送り付けられた場合は、注文した覚えのない商品は受け取らないことが重要です。支払うか支払わないかでなく、そもそも受け取らないようにしましょう。運送業者の方に受け取り拒否をすることも可能です。
また、注文したかしていないか自分の記憶に自信のない場合は受け取り保留にしてゆっくり考える方法もあることを、高齢者の方に教えてあげてください。その時、高齢者の方が一人で考えるのでなく、同居する家族がいる場合は相談できる環境を作っておきましょう。高齢者一人暮らしの場合、国民生活センターや消費生活センターが相談に乗ってくれることを伝えてあげてください。
注文したかしていないか判断ができない内に受け取ってしまった場合は、開封してはいけません。開封した場合、購入の意思があると判断され、返送できなくなり支払いにも応じないといけなくなります。注文したものか判断するため中身を確認してしまうところですが、注文したと確信がもてるまでは開封しないことを徹底してください。
また、電話機に録音機能を付けることも有効的です。送り付け詐欺は、人の記憶の曖昧さに付け込んでいる面もあります。録音機能をつけることで、「自分は何も注文していない」ということを証明できます。送り付け詐欺以外の電話通販詐欺にも、「いつ、何をどれだけ注文した」という記録を残せる録音機能は有効ですよ。
そして、大事なのは、高齢者の周囲の人が気を付けてあげることです。認知機能のしっかりした高齢者であっても、体力的に根負けしたり「早く解放されたい」一心でお金を払ってしまうこともあるでしょう。一度支払うと、ターゲットにされて次々購入させられる例も多々あります。食べきれない程の食品を買い込んでいないか等を、周囲の人で見守ってあげてください。
まとめ
・送り付け詐欺は、瞬時の判断力の衰えた高齢者や認知症の高齢者が被害者になることが多い
・注文した覚えのない荷物は受け取らない
・注文したものかそうでないか判断できない場合、受け取り保留にしてゆっくり考える
・一人で考えず周囲に相談できる環境を作る
・国民生活センターや消費生活センターが相談に乗ってくれる
・開封した場合、購入意思があるとみなされて支払い義務が生じる可能性が高くなる
・録音機能付きの電話機は送り付け詐欺だけでなくいろいろな電話通販詐欺に有効
・周囲に不用品が増えている高齢者がいれば注意する
参考サイト
◆国民生活センター:「高齢者を狙った健康食品の送りつけ商法が急増!…」