2014年9月27日、11時52分に長野県と岐阜県に跨る御嶽山(おんたけさん)が突如噴火し、58名の尊い命が失われました。
現在も行方不明のままになっている方がおり、ドローンを用いた調査などの捜索が行われています。
戦後最も大勢の犠牲者をもたらした御嶽山の噴火から2年が経ちますが、これを機会に火山の噴火メカニズムを調べてみました。
火山噴火の兆候とは
マグマが地表に出る場合と、水蒸気爆発を起こす場合がある
火山は地球の内部を形成するマントルという層があり、プレートと呼ばれる硬い地表の層がマントルの中に引き込まれる摩擦で溶けてマグマとなり、地中の圧力から逃れようと地表へと吹き出そうとする事によって作られる山です。
マグマだまりと呼ばれる場所に一定量以上のマグマが溜まると、ガスが溜まるなどして圧力が高まり、圧力が低い外部へと向けてマグマが移動していき火口から吹き出るのが「噴火」です。
圧力が高まる事で比較的浅い火山に近い場所で地震が発生したり、火口付近の地形が急激に隆起したりするといった現象が起こりはじめます。
火口付近では火山性ガスの濃度が増すといった事も噴火の予兆です。
このマグマが吹きだそうとする噴火は比較的予想がしやすい事から、噴火警報として火山の状況に合わせて警戒レベルが定められています。
しかし一方で、「水蒸気爆発」の場合は予知する事が非常に難しくなります。
「水蒸気爆発」とは火口の付近に流れる地下水がマグマに暖められる事や、直接マグマに触れる事によって起こる現象で、激しい爆発を起こします。
特にマグマが直に地下水に触れて起こるものは「マグマ水蒸気爆発」として区別され、一番激しい爆発を起こすと言われていますが、御嶽山の場合はマグマに含まれる成分が検出されなかった事から通常の水蒸気爆発によるものとされています。
それでもあれほどの被害が出るわけですので、火山は常に危険であるということを強く認識しておかなくてはいけません。
噴火の時に出てくるものは
マグマが直接出てくる場合や、噴石などの場合
火山の噴火によって吹き出てくるものには、大きく分けて溶岩流・火砕流・噴石・火山灰が存在します。
「溶岩流」は地中から吹き出た高温のマグマが火口から流れ出る現象で、火山によって水の様に流れるものから粘度の高いネバネバした様なものまで種類があります。
いずれも非常に高温で、流れる途中にある物を燃やしながら進み、冷えると固まってしまいます。
「火砕流」は高温のガス又は水蒸気と火山灰や噴石の塊が一気に斜面を下っていく現象です。
時速100km近い速度で流れてくる為、避難する事が非常に難しい現象です。
マグマによる噴火で起こる火砕流は600℃以上の高温になる事もあり、流れた範囲の物を焼き尽くしてしまいます。
1991年6月3日に長崎県の雲仙普賢岳で発生した火砕流が代表的なもので、巻き込まれたカメラマンが持っていた業務用カメラが溶けた状態で2005年6月に発見されています。
御嶽山では水蒸気爆発による火砕流が発生したものの、100℃程度と温度が低かった事と人がいる登山道側で発生しなかった為、火砕流の被害に遭う方はいませんでした。
御嶽山の噴火で一番多くの犠牲を招いてしまったのは「噴石」による被害でした。
噴石は大きなものだと小型自動車と同じくらいの大きさの物もあります。
火口から2~4kmの範囲に渡って飛散するといわれており、時速700km以上で落下してきます。
御嶽山で亡くなられた方の死因の殆どは噴石の直撃による外傷であった事からも、非常に危険な現象であると分かります。
当時の記録を見ると噴石が山小屋の屋根を損壊させており、頑丈な建物に隠れる事の大切さを伺い知る事が出来ます。
最後に「火山灰」ですが、直径2mm未満の小さな粒子の事を言います。
風に乗る事で数百km先にも飛んでいき人の呼吸器を傷つけ、エンジンの様な吸気を行う精密機械を破壊してしまいます。
健康被害の原因となる事と、飛行機や車を故障させて事故の起きる原因を作り経済活動に影響を及ぼすといった性質から、非常に厄介な存在です。
鹿児島県の桜島近辺では毎年の様に火山灰で悩まされていますが、日々火山灰を取り除いて生活を続ける姿には脱帽させられます。
火山のメカニズムは膨大なエネルギーを噴出させる自然の猛威を感じさせますね。
御嶽山の噴火から2年経過する今年も行方不明者5名はまだ見つかっておりません。
1日でも早く親族の下へ帰られる事を心から祈りつつ、教訓として火山・噴火に関する知識を深めておきたいと思います。
まとめ
- 火山は地中で生まれたマグマが地表へ出ようとして出来る
- 噴火には、マグマが噴き出す噴火と水蒸気爆発の二種類の現象がある
- 火山から噴き出す物には溶岩流・火砕流・噴石・火山灰がありいずれも危険である