「公務員は気楽でいいよなぁ、給料もいいし景気に左右されないし!」そんな目で公務員を見ている方も少なくはないでしょう。ですが、その考えは間違っていますよ。実は公務員である役所の職員は、大雨が降ると呼出されることを知っていますか?今回は、大雨が降ると職員が呼出される、「水防」についてお話ししましょう。
水防法第7条第1項に基づく「水防計画」が策定されている
消防団の方以外では、一般的に知られていない法律があります。それが水防法です。読んで字のごとく、水害を防ぐ目的で作られた法律です。この中の、第7条第1項には自治体は「水防計画」を策定しなければならないとあります。ですから、国も都道府県も、その下の各自治体も「水防計画」を策定しています。そして、大雨が降ると「水防計画」に基づいて、警戒態勢をとることとなります。
大雨注意報が発表されると防災担当部署は待機となる
気象庁から大雨注意報が発表されると、その地域の自治体の防災担当部署では、数名が「連絡員待機」状態になります。注意報から警報に切り替わらなければ、自宅待機でもかまいませんが、出勤していれば注意報が解除されるまで、基本的に庁舎での待機となります。
大雨警報が発表される前には「水防指令第1号」となる
大雨警報が発表される予想となると、水防指令第1号となり防災担当部署の職員は、庁舎で待機することとなります。待機する職員は、水防計画で予め決められています。また、同時に地域の消防団員も、待機状態に入ります。では、待機中の職員が何をするのかというと、今後の気象状況の把握や、他の職員への連絡が直ぐに取れる準備を行います。最近では、雨雲レーダーの精度が高いので、今後の予想はしやすくなっているといってよいでしょう。地震の場合は、震度4の地震が発生すれば、自動的に水防指令第1号となります。
水防指令第2号にて、所属人員の5割以内の職員が呼出される
大雨・洪水注意報が引き続き発表されていて、今後災害が起きるかも知れない状況になると、水防指令第2号となります。この時点で、所属定員の内予め定められた概ね5割以内の人員を配備することとなります。つまり、防災担当部署だけでなく他部署でも職員が呼出されます。震度5強または5弱の地震が発生した時は、自動的に水防指令第2号となります。
水防指令第3号になると原則全人員を配備する
大雨・洪水注意報が引き続き発表されていて、このままだと大雨洪水警報や土砂災害警戒情報が発表される状態になったら、水防指令第3号となりほぼ全職員が招集されます。概ね水防指令第3号となる時には、その後直ぐに災害対策本部が立ち上がり、避難所の開設などに当たることとなります。地震の場合は、震度6弱以上の地震が発生すると、自動的に水防指令第3号となります。
役所の職員は見えないところで活動している
大雨洪水警報が発表されれば、基本的に水防指令3号になる自治体が多くあります。その理由は、避難所を開設する必要があるからです。現在気象庁の警戒レベルだと、大雨警報・洪水警報が発表されると警戒レベル3となり、高齢者等避難となっています。つまり、大雨洪水警報が発表されれば、高齢者の方達が避難するための避難所を開設する必要があります。さらに、土砂災害警戒情報が気象庁から発表されれば、警戒レベル4となり避難指示を発令しなければなりません。この時点では、水防指令でなく災害対策本部に切り替わっておく必要があります。ですから、大雨洪水警報が発表される直前には、基本的に全職員が呼出されることとなるでしょう。
台風シーズンは職員の気が休まらないシーズン
このように、大雨や地震が発生すると役所の職員は、見えないところで活動することとなります。警報が発表されれば、避難所を開設するために多く職員が雨の中車を走らせます。避難所を開設すれば、毛布や飲料水の準備など受け入れに必要な準備も行うので、結構忙しいです。なので、台風シーズンは職員の方達は、気の休まらないシーズンといってよいでしょう。
まとめ
・大雨が降って注意報が発表されたら待機が始まる
・大雨洪水警報が発表されると、職員は集合しないといけない
・警戒レベル3で避難所を開設する必要がある
・台風シーズンは職員の気が休まらないシーズンとなる