日本は自然災害の多い国なので、応急救護(英語では主にFirst aid)についても年々注目度が増しているようですね。
消防署などで行っている、応急救護の講習を目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
今回は応急救護について、前後編2回にわたってご紹介します。
応急救護とは
救急車やレスキューが到着するまでにできること
ケガをした人がいる場合は、速やかに119番通報をして救急車を呼ぶことが大切ですね。
2014年の消防白書によると、通報を受けてから救急隊員が現場に到着するまでには平均8.6分かかるそうです。
大災害の場合だと、救急隊員やレスキューが到着するまでにはもっと時間がかかることも想定されます。
この到着までの時間に、負傷者に対して何かしてあげられることがあるとすれば「応急救護」「応急処置」です。
ぜひ「応急救護」の方法を、この記事でさわりだけでも知ってもらえると幸甚です。
応急救護には主に「移動」「姿勢の管理」「止血」「外傷の手当て」などがあります。
今回は前編として「移動」「姿勢の管理」についてご紹介し、明日の後編で「止血」「外傷の手当て」についてご説明したいと思います。
なお「心肺蘇生法」についても、防仁学の次のページで詳しく解説しているので合わせてご覧になることをオススメします。
参考リンク:救急医療週間「応急処置の方法知っていますか?(2)心肺蘇生法」
応急救護の方法1「移動」
まずは負傷者に意識があるかどうかを確認しましょう。
口と鼻の近くに耳を寄せて息をしているかを確認し、決して揺さぶらずに大きな声で呼びかけてみましょう。
負傷者に意識がないときや、頭部、頚部に損傷・出血が見られる場合は、移動はできるだけしないほうが良いでしょう。
周囲の安全を確保するとともに、その場で安静にして救急車の到着を待ちます。
意識があっても、首の後ろを圧迫して痛みや手足のしびれがあるようなら、移動は控えたほうが良いでしょう。
これらの症状がなく、道路上など二次的な事故が予想される場合は、負傷者を安全な場所に移動させることを考えてください。
このとき負傷者の体に負担をかけないよう、静かに運ぶことが大切です。
可能であればタンカやストレッチャー、またはそれに代わる台車などを用いて運ぶのが最善です。
震えていたり血の気が引いていたりする場合は保温も大切です。
体温が低下しないように敷物や毛布であたためてあげてください。
毛布が1枚しかない場合は、負傷者にかけるよりも負傷者の下にひいてあげる方が重要です。
応急救護の方法2「姿勢の管理」
負傷者に意識があれば、一番楽な体位になれるようにサポートしてあげましょう。
負傷部位を心臓よりも高い位置にできるとなお良いですが、思わぬ場所にダメージを受けている場合もありますので、本人が一番楽な姿勢をとれることが重要です。
衣類やベルトなどをゆるめ、負傷者が落ち着くようにできるだけ安静にしてあげてください。
意識がなく、かつ前述の「移動」が可能な状態であれば、回復体位(負傷者を横向きに寝かせて、気道を確保するために下あごを前に出した姿勢。側臥位とも言う)を取るようにします。
下の図を参考にしてみてください。
参考リンク:横浜市消防局・救命処置以外の応急手当
まとめ
・応急救護とは、救急車到着までに負傷した人に対して行う応急的な救命・救護処置
・応急救護には、「移動」「姿勢の管理」「止血」「外傷の手当て」「心肺蘇生法」などがある
・負傷者を移動させるときは、意識があるかないかを良く確かめる
・負傷者に意識があるときは本人が一番楽な姿勢をとり、意識がないときは回復体位で気道を確保することを心がけると良い