東京五輪開催に向けて日本中で着々と準備が進んでいる昨今、詐欺師はその空気に乗って投資詐欺や振込詐欺やそれ以外にもいろいろな新手の詐欺を始めており、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会や国民生活センター等も注意を呼び掛けています。
本記事では、東京五輪に絡んだ詐欺の例を見て、被害を未然に防ぐためのポイントを紹介していきます。老若男女問わず巻き込まれ得るものなので、ご家族や友人みなさんで注意しあって、詐欺に備えていきましょう。
東京五輪絡みの詐欺の例
まずは、東京五輪絡みの詐欺を、実例に基づいた例で見ていきましょう。
投資に関する詐欺

投資というのは基本的に、今後利益が大きくなっていきそうな会社に活動資金とも言えるお金を出資して、会社が本当に成長すれば出資した額以上のお金になって戻ってくるものですよね。東京五輪の開催によって、たくさんの会社が利益を上げそうなイメージがあります。
例えば東京五輪開催のための土地を扱う会社、東京五輪に必要な建物の建設に関わる業者、東京五輪に関連したイベントグッズを作る会社、東京五輪のメダルを作る会社等々いくらでも思いつくでしょう。
投資に関する詐欺は、東京五輪に関連して利益を出しそうな会社をでっちあげて、電話等で出資を要請してくるものです。そして、出資としてお金を振り込ませたりするのです。もちろん、出資をしたってそんな会社は存在しないのだからお金は儲けられません。会社に振り込んだつもりのお金は、詐欺師の口座に振り込んだだけです。
また、中には巧妙な例もあります。東京五輪関連の会社を名乗る○○会社から社債を購入して出資をして欲しいと要請があり、断って電話を切ると、後に違う人から電話がかかってきて「○○会社の社債を欲しい。持っている人を知りませんか?高額で買い取りたい」等言うのです。こうして○○会社が実際に存在し、東京五輪で利益をあげるという印象を持たせ、そしてその会社に出資すれば自分は大きく儲けられるというイメージをつけるのです。
ですが、東京五輪関係の詐欺に関わらず、投資というものを冷静に考え直してください。投資とは大事なお金を増やしもするし減らしもする重大な選択でもあります。電話で小耳にはさんだだけの会社にお金を投資するのは、リスクが高すぎます。きちんと会社の実態を調査した上で投資をしましょう。
チケットに関する詐欺
東京五輪の観戦チケットは、大会ホームページに登録してチケット購入を申し込み、抽選に通った人が購入できることになっています。
チケットに関する詐欺の例として、「あなたは東京五輪の観戦チケットの抽選に通りました」と電話がかかってきてチケット購入の費用を振り込ませるものがあります。また、それを断ると、後に違う人から電話がかかってきて、「東京五輪の観戦チケットを持っていませんか?どうしても東京五輪の観戦チケットを欲しい、持っていれば高額で買い取る」等言うのです。すると、東京五輪観戦チケット購入の話しを断っても、転売目的で購入をしようという気になってしまうのです。
ですが、そもそもチケット購入の抽選に申し込んでいない人にチケットの購入権が当たることはないのです。また、チケット購入を申し込んだ人も、組織委員会のホームページによると、チケットに関してはホームページで順次進展していくはずですので、電話の流れに任せないようにしましょう。
セキュリティ向上のためにキャッシュカードを回収
銀行員を名乗る人から、「東京五輪開催に伴い海外の詐欺グループからのセキュリティ向上のため、古いキャッシュカードを回収している」と電話で言われ、その後訪問をしてきた銀行職員を名乗る人たちにキャッシュカードを渡してしまうというものです。
よく知っている職員でもない限り、一人の銀行員の電話や訪問は信じず、お店にサービス内容を問い合わせてください。
これは、銀行に限らずどの事業の会社でも官公庁でも言えることです。一つの電話や一つのメール、一つの訪問だけでその会社や官公庁の正規のサービスとは考えないでください。
数限りない東京五輪関連の詐欺

それ以外にも、電話でいきなり「東京五輪の観戦チケットの購入を承りました、振り込みをお願いします」等言われ、身に覚えはないけど買い物をしたかもしれないと錯覚させられる送り付け詐欺のような例もあります。
また、これを断ると、「キャンセル料を払え」とか「あなたは契約違反を犯している、法的処罰を受ける」とか、弁護士を名乗る人まで出てきて解決してあげるけどそのための金が必要等とさまざまな名目でお金を要求されたりします。さらに、直接会って話しをしたい等言って来ることもあるようです。老人だけの家庭では、怖くてお金を払ってしまいそうですよね。
また、メールで「無料チケットが当たりました、お送りする手続きのためこのURLに必要事項を記入してください」とあり、そのURLは詐欺師のサイトで、そこに個人情報を書き込んでしまったという例もあるようです。
東京五輪関連の詐欺に合わないために
まず、東京五輪関連の電話やメールには、すぐには応じないことが重要です。
投資の話しでは、お金を得ることばかり考えずに、投資先の会社の実態をまずは確認してください。また、弁護士や大手企業を名乗る人から電話やメールがあっても、一つの電話なりメールなりだけで、正規のサービスだと考えず直接会社等に確認を取りましょう。
そして、詐欺被害に合ったと思ったり、不審な電話等があれば消費生活センターに相談をしましょう。一人で解決しようとすると、どんどん深みにはまっていきます。
まとめ
・東京五輪関連の電話やメールに、すぐには応じない
・投資の話しや儲け話しは、まず投資先の会社の実態を確認する
・有名企業の職員や弁護士を名乗る人からの電話やメールがあっても、すぐに正規のサービスとは思わず会社等に確認を取る
・購入した覚えのない商品は受け付けない
・詐欺被害に合った時や対処に困る電話等が続くようなら消費生活センターに相談する。
参考サイト
◆国民生活センター「東京オリンピックに関連した詐欺的トラブルにご注意ください!」
◆朝日新聞「「東京五輪に向け古いカード回収」詐欺容疑で少年ら逮捕」
◆日刊ゲンダイ「国民生活センターに聞いた“東京五輪詐欺”ダマしの巧妙手口」