みなさんは、どのような言動がパワハラに該当するのかご存知でしょうか。近年、パワハラが問題視されていますが、実際はどのようなことがパワハラになるのか分からない方が多くいます。パワハラは人の尊厳を傷つける許されざる行為です。
今回は、パワハラの具体的な事例をいくつかご紹介いたします。一人ひとりが相手を思いやり、適切な言動を意識することがパワハラ防止につながるのです。
パワハラに該当する言動が分からない人は多い
厚生労働省によると、パワーハラスメントの定義は下記の通りです。
” 職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。”
引用:NOハラスメント あかるい職場応援団 パワーハラスメントの定義
パワーハラスメントの定義はあるものの、実際どのような言動がパワーハラスメントに該当するのか分からないという方は多いでしょう。平成28年度のパワーハラスメントに関する実態調査を見ると、パワーハラスメントについて知りたいものという質問で32.1%の人がパワハラに該当する行為とならない行為の違いを知りたいと回答していました。
また、パワーハラスメントをしたと感じたり、指摘されたことがある方が対象の質問では、34.9%の人がパワーハラスメントをしたと感じていないことが判明しました。対象者の約3割がパワハラの自覚を持たず、誰かを傷つけている可能性があるのです。
パワーハラスメントを防ぐ為にも、まずはどのような言動がパワーハラスメントに該当するのか一人ひとりが知る必要があります。
パワハラの具体的な事例
パワハラにはいくつかの類型がありますが、それぞれの具体的な事例を紹介いたします。
①精神的な攻撃
・存在自体が会社にとって損害だと大声で言われた
・ミスを現金に関して支払わされる
・死んでしまえ、給料泥棒等と暴言を吐かれた
・ネクラだ、明るい顔をしろと他の労働者がいる前で面白おかしく取り上げられた
人格否定の言動や厳しい叱責を長時間行う、労働者の前で繰り返し大声で叱責する等の言動がパワーハラスメントに該当します。
②過大な要求
・膨大な業務量を強いられ継続的に月80時間の残業をしていた
・平日にできる仕事だが毎週のように土日に出勤することを命じられた
業務以外の内容を強制したり、客観的に見て対応できない程度の業務目標を設定し、達成できなかった時に激しく叱責したりする等過度に負担をかける行為もパワーハラスメントです。
③人間関係からの切り離し
・職場での無視
・飲み会に1人だけ誘われない
・これまで参加していた会議に参加できなくなった
特定の人を故意に仕事から外したり、集団で無視をして職場で孤立させるという行為はパワハラの一つです。中には特定の労働者を個室に隔離するケースもありました。
④個の侵害
・周囲の人がいる状態で引っ越したことやおおまかな住所を言われた
・個人情報をしつこく聞かれたり、総務に聞くと言われたりした
・上司が毎日のように昼食を買いに行かせたり、自宅の掃除をさせたりする
業務と関係がない私事を命じたり、業務以外の継続的な監視、個人情報を勝手に周囲にバラすという行為はパワーハラスメントです。
⑤過少な要求
・一日掃除のみをするという日が続いた
・故意に簡単な仕事を継続的にさせられた
・上司の指示により自分自身がやるべき本来の仕事を他の労働者にさせるようになった
嫌がらせや退職に追い込む為に仕事を与えなかったり、誰でもできる仕事を行わせる行為も問題です。
⑥身体的な攻撃
・カッターナイフで頭部を切り付けられた
・物を投げつけられたり蹴られたりした
殴打や足蹴り、物を投げつける等の身体的な攻撃はパワハラに該当します。
まとめ
・パワハラに該当する言動が分からない人が多い
・対象者の約3割がパワハラをしたと感じていないことが判明した
・一人ひとりがパワハラについて詳しく知ることが大切
・精神的な攻撃や過大な要求、人間関係からの切り離し等がパワハラに該当する
参考サイト
◆厚生労働省 職場のパワーハラスメントに関する実態調査について「平成28年度調査」
◆NOハラスメント「あかるい職場応援団 あなたの周りにありませんか?こんなパワハラ」
◆茨城労働局 どんな言動が、パワーハラスメント?