ペットボトルのメリットは、飲みかけのままでも保存・持ち歩きがしやすいことですよね。日頃から利用している方も多いのではないでしょうか。一方で、飲みかけのペットボトルは細菌が増殖しやすく、食中毒のリスクがあることが指摘されています。
ペットボトルが原因の食中毒とはどのようなものなのでしょうか。予防するためにできることについても、あわせて考えてみましょう。
ペットボトルによる食中毒とは
ペットボトルは徹底的な品質管理がされていて、とても安全な飲み物です。ペットボトルによる食中毒のほとんどは、開封後の飲み方や管理の仕方によって原因菌が増殖し、起こるのです。
ペットボトルを飲むときは、ボトルの注ぎ口に直接口をつけて飲むことも多いですよね。人の口の中には様たくさんの雑菌がいます。口をつけて飲むことによって、ペットボトルの中に口腔内の雑菌がうつり、時間の経過とともに増殖していきます。雑菌が増殖すると品質が落ちたり腐敗したりしやすくなり、食中毒の原因となることがあるのです。
宇都宮市が行った実験によると、ペットボトルの容器に口をつけて中身を半分程度飲み、その残りを容器に入れて室温30度の環境で48時間放置したところ、ミルクコーヒーと麦茶では6時間後から細菌が増殖し始め、48時間後には10倍~30万倍にまで増殖したことがわかります。緑茶やスポーツ飲料などは菌が増殖することはありませんでした。これらの結果から、細菌の餌となる糖や炭水化物が含まれている飲み物に注意が必要であることがわかります。また、高温下で長時間放置すると菌が増殖しやすくなることから、夏場に飲みかけのペットボトルを放置する行為は、特に危険と言えるでしょう。
見た目で判断しない
食品の腐敗や劣化が進むと、「臭いがおかしい」「色がおかしい」といった変化が現れます。しかしながら、ペットボトルの中で雑菌が繁殖しても、見た目やにおいに変化がないことが多いです。香りの強い飲料や色の濃い飲料の場合は、より一層判断しにくくなるでしょう。
開封済みのペットボトルを飲むときは見た目などの感覚に頼るのではなく、保存環境や開封してからの時間を目安に、安全かどうか判断するようにしましょう。
食中毒の症状
食中毒の症状は原因菌によって変化しますが、一般的に腹痛、下痢、腹部膨満感、吐き気、嘔吐などの症状が出ます。ペットボトルの食中毒は、体力が低下していたり、抵抗力が低下していたりすると、症状が出やすくなります。ペットボトルを多用する夏場は、夏バテによって体が弱っていることがあるので、注意が必要ですね。
子どもやお年寄りなど、十分な体力や抵抗力がない方も、一層の注意が必要です。周囲の大人が気を配ってあげることも大事なのではないでしょうか。
予防するためにできること
①口をつけて飲まない
ペットボトルの食中毒は、口をつけて飲んだペットボトルが原因で起こります。口をつけて直に飲むのではなく、コップなどにうつしてのむようにしましょう。
②常温で放置しない
常温で放置すると、雑菌が繁殖しやすくなります。開封後は冷蔵庫に入れて保管し、菌が増殖しにくい環境下で保存するようにしましょう。口をつけて飲んでいない場合でも、開封後は冷蔵庫で保管すると安全です。
③早めに飲み切る
ペットボトルにうつった雑菌は、時間を経るにつれて増殖します。食中毒予防のためには、早めに飲み切ることも効果的なのではないでしょうか。開封後数時間を目安に飲み切ってください。
ペットボトルは、350ミリリットルサイズ、500ミリリットルサイズ、1リットルサイズなど、様々な大きさがあります。用途に合わせて、短時間で飲み切れるサイズのものを購入することも検討しましょう。
時間が経過したものや、いつ開封したか定かではない物は、思い切って破棄しましょう。
まとめ
・ペットボトルの食中毒は、直接口をつけて飲むことが原因で起こる
・口をつけた飲みかけのペットボトルを、長時間放置すると高リスクとなる
・見た目では細菌の増殖や品質劣化の判断ができない
・直接口をつけることをやめ、コップなどにうつして飲む
・開封後は冷蔵庫で保管し、早めに飲み切る