PM2.5という目に見えない害が、空気中に存在しています。PM2.5の粒子は非常に小さく、表面には様々な有害物質が吸着されています。身体に入り込むと健康被害を与えるとして近年問題視されているのです。特に高齢者は子ども、妊婦や喫煙者、健康状態に不安を抱えている人は影響を受けやすいので注意が必要です。
PM2.5から身体を守るためにも、日常的に対策を行いましょう。今回は、PM2.5の身体への影響と対策についてご紹介いたします。
PM2.5が身体に与える影響とは

始めに、PM2.5の数値が高いからといって必ずしも健康被害が生じるわけではありません。身体への影響力には個人差があるからです。
通常、鼻や喉の粘膜にはフィルターの様な機能があり、4.7μmまでのサイズの粒子は体内に入りにくくなっています。しかし粒子が非常に小さく、肺の奥深くまで入りやすいのがPM2.5の特徴。サイズは髪の毛の1/30程度で、スギ花粉の20~30μmよりも小さいのです。粒子の表面には様々な有害物質が吸着されていますが、有害物質という点よりもサイズの小さいところが危険だと言われています。
PM2.5が肺に入り込むと炎症を引き起こし、気管支炎や喘息といった呼吸器系疾患、肺がんリスク、循環器疾患が生じる可能性が高くなるでしょう。長期的にPM2.5を浴びた続けた場合は、生殖・発達機能にも影響があるのではないかとも考えられています。
PM2.5は濃度が10ug/㎥上昇すると、全死亡リスク0.3~1.2%が増加、呼吸器系疾患の死亡リスクは0.8~2.7%。循環器系疾患の死亡リスクは1.2~2.7%増加します。特に高齢者や子ども、呼吸器や循環器の持病をかかえている人は濃度が低くても影響を受けやすいので注意したいところです。他にも妊婦や喫煙者、野外で活動する機会が多い人もPM2.5の影響を受けやすいと言われています。
また、空気中に存在しているとなると気になるのは農作物ですよね。農作物に関しては、PM2.5が付着していることが推測できますが、現段階では身体への影響は報告されていません。今後の研究次第で、新しい事実が発覚するかもしれませんね。
影響を抑えるための対策について

次に、PM2.5の影響を抑えるための対策ですが、まずはお住まいの地域のPM2.5測定値を調べましょう。住んでいる地域や季節によって、PM2.5の濃度が変化するからです。調べる方法としては、自治体から注意喚起いるかどうかや、環境大気汚染物質広域監視システムそらまめ君の測定結果を見るといいですよ。
そして、お住まいの地域のPM2.5の濃度が高いときは可能な限り外出しない方がいいでしょう。外出する場合は、外で激しい運動をするとPM2.5を吸い込む量が増えてしまうので注意します。
マスクをすれば防げるのかについては、一般的なマスクはPM2.5を防ぐ効果に差があるようです。PM2.5対策をするのであれば、微粒子の吸収を減らす医療用や産業用の風塵マスクを使うといいでしょう。なおかつ顔のサイズにあったマスクを隙間ができないように使うのがポイントです。息苦しさを感じることが多いので、長時間の使用は避けましょう。
マスクは何度も使いまわさず処分してくださいね。当然ですが、帰宅したら手洗いやうがいも忘れずに行います。
屋内でも油断できません。窓を開けたり換気をすると、室内にPM2.5が入り込んでしまいます。可能な限り、外気を室内に入れないようにしましょう。PM2.5に対応した空気清浄器を使用するのも有効です。
見えない天敵から身を守るためにも、日頃からPM2.5の存在を意識して対処することが大切です。
まとめ
・PM2.5は呼吸器や循環器、生殖器官にも影響を与えると考えられている
・農作物に付着したPM2.5の健康被害の報告はない
・お住まいの地域のPM2.5測定値が高ければ外出を控えたりマスクをする
・濃度が高いときは外で激しい運動をしない
参考サイト
◆政府広報オンライン「暮らしに役立つ情報」
◆産業医科大学 呼吸器内科学「PM2.5の健康影響と対策」
◆国立環境研究所「PM2.5の健康影響と環境基準」