皆さんは、1年間で雷(かみなり)によってどのくらいの方が亡くなっているかご存知ですか?
実は、落雷で命を奪われてしまう方は日本でも毎年10人以上いらっしゃいます。
雷が原因で住宅が火事になってしまう事例も多くあります。
2016年5月にはバングラデシュ各地で落雷の被害が相次ぎ、なんと4日間だけで60人以上の方の命が奪われました。
雷を避ける方法を正しく知っていないと、いざという時に深刻なダメージを受ける恐れがあります。
また夏のイメージが強い「雷」ですが、実は冬にも「冬季雷」という強力な雷現象がある事をご存知でしたか?
そこで今回は、雷による被害やその対策について詳しく解説いたします。
雷の被害ってどのくらい?
意外と多い落雷事故
ではまず、雷による被害状況について詳しくみていきましょう。
最近では台風の影響やゲリラ豪雨などの気候変動により、雷に遭遇する機会が多くなりました。
でも多くの方は、まさか自分の体に雷が直撃するなんて思わないですよね。
しかし、警察庁が出した過去の統計(1994~2003年)によると、日本で落雷による年間の平均死亡者は13.8人もいらっしゃるそうです。
この数字は増加傾向にあり、私たちが思っている以上に件数が多いことが分かります。
特に、雷が家に直撃して火事になり、焼死してしまった事故が多くなっています。
自分の体に直接落雷があるというよりは、近くの高い所・高い物・高く突き出た物落雷し、間接的に被害にあう場合が多いようです。
また、夏に多いとされている雷ですが、冬場でも発生します。
冬に起こる「冬季雷」のメカニズムは、まず冷たい季節風によって海上に雲が発生します。
その季節風が本州沿岸を流れる暖流との温度差によって生じる水蒸気を含むことによって、落雷を引き起こす雲が出来上がってしまうのです。
冬季雷の特徴は、夏期の雷が積乱雲から地面に向かって下向き放電するのに対し、地面から積乱雲に向かって上向きに放電することです。
冬季雷は落雷数は少ないものの、そのメカニズムにより夏期の雷の数百倍のエネルギーを持つ場合があり、また雪やあられを伴うことが多くみられます。
冬場の雷には十分な注意が必要です。
雷の被害
どういう場所で起こるの? その対策は?
雷による被害はどういう場所で起こりやすいのかご存知でしょうか?
気象庁の発表によると、海辺での雷の被害が多くなっています。
海辺では釣り具に雷が落ちるということもあるそうですので、冬場の海釣りに行かれる方は十分にご注意ください。
また屋外でのスポーツ・レジャー時にも雷には十分な注意が必要です。
海外ではありますが、サッカー選手が落雷により命を落とした例が複数回あります。
ゴルフ場も落雷による被害が多い場所です。
山登りやスキー・スノーボードなどのウィンタースポーツをする方にとっては、山頂や尾根など周りに全く背の高いものが無い場所が雷の危険地帯です。
また、高い木は落雷の可能性が非常に高いと言われています。
大雨の時に高い木のそばに雨宿りをしていると、木の幹や枝から落雷による電流が人へ飛び移る恐れがあります。
その場合は、少し工夫をすることで、雷の被害にある可能性低くなります。
例えば、木や建物の高さ5m以上30m以下の高い物体があれば、てっぺんを45度以上の角度で見上げる範囲で、その物体から4m以上離れた場所で足を揃えてしゃがんでいれば比較的安全です。
また木の根元や建物の側面は雷による衝撃が伝わりやすいので、高い物体の付近から2メートル以上離れることが望ましいです。
もし、大雨の際に雨宿りするときは、高い物体からある程度の距離を取って、雷から自分の身を守りましょう。
多くの方が「体についている金属を外せば、体に落雷しない」という考えをお持ちかもしれません。
これは大きな間違いです。
金属を外しても雷の電気は人に伝わります。
実際には体に金属をつけていて落雷を受け感電した場合には、その金属に電気が集中して流れるので、金属に接触している部分に重いやけどを負ってしまう可能性はあります。
しかし、むしろ体全体への影響は軽減される場合もあるそうです。
雷被害は夏場がピークですが、冬場にも発生しています。
ゴロゴロと音が鳴り始めたら「冬だから大丈夫」と過信せずに、安全な建物内や自動車の中などに逃げるのが一番です。
まとめ
◆日本で落雷による年間の平均死亡者は約14人で、増加傾向にある
◆落雷事故が起きやすいところは、高い建物や高い木の周辺など
◆海辺やグラウンドなどの開けた場所や、山頂や尾根などの高いところでは、他に背の高いものが無いため人に落雷しやすくなる
◆金属は外したほうが落雷しにくくなるというのは間違い
◆雷が鳴り始めたら過信せずに、適切な避難をする事