2016年5月に島根県邑南町の県道を走行中の軽自動車に直径1mもある落石が直撃して助手席に乗っていた女子大生が死亡するという事故がありました。
鳥取県は県道の安全対策が万全でなかった事を認めていますが、事故を未然に防ぐことは出来なかったのでしょうか?
事故現場は山間部を走る道路でしたが、落石事故は登山の最中に起こる事もあります。
落石事故の原因と対策を調べてみました。
落石が発生するメカニズム
予兆なく起こる事もある
落石という現象が起こるのは、地盤が雨で緩くなっている場合や長年の雨や風による浸食で岩が削られて弱くなった部分が落下するという事が原因です。
登山の場合は人為的に落石が起こされる場合もありますが、例えば足場の悪い場所を移動している時に小石を蹴飛ばしたとしても落下するにつれて人に大けがを負わせるほどの勢いになります。
小石がもっと大きな石を押してしまい土砂崩れのようになる事もあり、登山で落石を起こさないように定められた登山道を歩くのもマナーのひとつになっています。
人が起こさなくても動物が落石を起こす事もあります。
また、落石は予兆もなく発生する事があり1980年8月に発生した富士山の大規模落石事故では噴火や地震といった予兆はなかったものの、同じ年の4月に起こった大規模な雪崩や風雨で弱くなった富士山の表面から直径1m以上の岩石が自然に崩れ落ちてしまい、死者12名に負傷者29名という大規模事故となってしまいました。
島根県での落石事故も過去に同じ場所で同様の事故があり、以前から落石が起きやすい山の斜面である事が知られていましたが、行政側の対応が遅れていた結果落石を防ぐ事が出来ませんでした。
落石事故の予防法
行政による予防
落石事故を防ぐ方法には物理的な対策と個人で行う心がけの二種類があります。
物理的な対処方法は個人ではなく国や自治体が行う必要があるものですが、落石が起こりやすい斜面に対して落石防止用のネットを張る方法やモルタルで斜面を固めるといった方法があります。
植樹を行い斜面の地盤を木の根でしっかり保持させるという方法もあります。
木が沢山生えると風雨による影響を減らす事も出来るので効果的ではあるのですが、富士山や広島県の大規模土砂災害があった地域のように火山灰などで出来た土壌だと大きな木も土砂と一緒に流されてしまう事もあります。
比較的地盤が弱い場所では土砂災害にも気を付けるようにしましょう。
登山者による個人の予防
個人で出来る予防方法は、登山の時に心がける内容です。
一番気を付ける必要があるのは、自分が石を蹴り落としたりしないようにする事です。
どんなに小さな石でも麓まで落石して人を傷つける可能性があります。
その為、登山道から外れた落石しやすい石が転がっているような場所を歩く事はやめましょう。
落下しそうな石を避けて歩く事に注意し、ゆっくり焦らないようにして登山すると良いでしょう。
また、自分だけでなく先を登る登山者が石を転がしてしまわないかにも注意しながら登るようにしましょう。
もし落石を見かけたら大声で周りに落石を注意する事が大切です。
落石は自然に発生する場合と人為的に起こる場合がありますが、落石が起こりやすい場所は自治体が出している落石注意マップや土砂災害ハザードマップに記載がありますので、雨が降った後などの落石が起こりやすい時期は近寄らないようにするのも個人で出来る予防法になります。
まとめ
・落石は風雨で地盤が弱くなる事で自然と発生する事がある
・人為的に石を転がり落としてしまい発生する事もある
・行政は落石に対する予防を随時行っている
・個人でも落石を起こさない様に登山をする時は注意する
・ハザードマップなどで落石の危険がある場所をチェックし、降雨の後など危険な時期は近寄らない