2021年は乳幼児を中心に、RSウイルス感染症が流行しています。RSウイルスは、乳児や基礎疾患のある小児が感染すると重症化する恐れがあり、注意が必要な感染症です。症状や注意点について理解を深め、子どもの健康維持や重症化予防に役立てましょう。
RSウイルス感染症とは
RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器系の病気です。潜伏期間は2~8日間で、主な症状は発熱、鼻水などの風邪症状です。多くの場合軽症で済みますが、まれに重症化すると、ひどい咳、喘鳴、呼吸困難などの症状が現れ、気管支炎や肺炎、無呼吸発作など重篤な状況に陥ることがあります。
RSウイルスは1歳までの間に半数が、2歳までにほぼ100%が感染するとされています。初めて感染する乳幼児の7割は軽症で、症状は一週間程度で改善します。3割はひどい咳や呼吸困難などの症状が出るため注意が必要です。
生後6か月以内にRSウイルスに初めて感染した場合は重症化しやすく、保護者は注意深く見守る必要があります。また、低出生体重児や、心臓や肺などに基礎疾患がある場合も重症化するリスクが高く、注意が必要です。
RSウイルスは秋口から春先にかけて流行します。しかしながら、近年は夏頃から流行するなど流行時期が早まってきているため、日頃から感染防止対策を取りましょう。
感染経路は?
RSウイルスは、咳やくしゃみによる飛沫感染と、ウイルスが付着したものを触った手で口や鼻を触る接触感染によって感染します。感染経路を絶つためにも、手洗いやうがいなどに努めましょう。
乳幼児が触れるもの(おもちゃ、机、いす、ドアノブ、手すり、スイッチなど)はこまめに消毒をしましょう。消毒は消毒用のエタノールや、次亜塩素酸ナトリウムを使って行ってください。
どんなことに気をつければいいの?
重症化のリスクが高い乳幼児がいる家庭では、RSウイルスを持ち込まないように気をつけましょう。流行期は手洗いうがいに努めるとともに、こまめな消毒を行ってください。RSウイルスは小学生以上の子どもや大人がかかった場合、軽い風邪程度の症状でおさまることがほとんどで、知らないうちに乳幼児にうつしてしまうことがあります。風邪症状があるときは家庭内でもマスクを着用し、乳幼児や重症化リスクのある子どもとの密接な接触は、できるかぎり控えるようにしましょう。
RSウイルスの感染力は非常に高く、感染対策を取っていても罹ってしまうことがあります。子どもがRSウイルスに感染したときは子どもの様子を注意深く見守り、重症化にいち早く気づくことが大切です。「咳がひどくなる」「ゼーゼー・ヒューヒューとした呼吸をする」「肩で呼吸をする」など呼吸困難症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
また、基礎疾患があるなど重症化リスクが高い子どもがいる場合は、RSウイルスに感染したときの対応などについて、前もってかかりつけ医に相談しておきましょう。
まとめ
・RSウイルス感染症は生後6か月未満の子どもや基礎疾患のある子どもの重症化リスクが高い
・飛沫感染や接触感染でうつるため、手洗いや消毒で予防する
・風邪症状があるときはマスクを着用し、密接な接触を減らす
・重症化のサインが見られるときは、すぐに医療機関を受診する
・基礎疾患がある場合は、かかりつけ医に相談しておく