たくさんの人から人気を集める芸能界に、憧れるお子さんもたくさんいらっしゃると思います。一方で、その憧れる気持ちを逆手に取った詐欺まがいのスカウトやお子さんのはやる気持ちが原因となる契約トラブルも続出しています。国民生活センターによると、タレントやモデルの契約に関するトラブルは、2018年で569件にものぼっています。
本記事では、そんなトラブル防止のため、スカウト詐欺の手口を見たり、契約時の注意点等を見ていきます。特に、大学進学や新社会人となって親元を離れるお子さんと、お話ししてみてください。
契約時のトラブル例と対処法

以下、芸能事務所との契約におけるトラブル例とそれぞれの対処法を挙げていきます。いずれも、実例に基づいた例です。
また、芸能事務所への応募のきっかけは、街でのスカウトだけでなくインターネットでエキストラ募集の広告を見て応募した等こちらから接触を持つことも増えています。それ以外にも、街でエステサロンの無料体験入店から勧誘され、契約に至った例もあります。もちろん、全てが悪質というわけではないのでご注意ください。
それと、トラブル当事者の7割が女性です。女性の場合、エステサロンモデル等男性より募集範囲が広いことにも注意してください。
いろいろな名目でお金を払い続ける(小見出し)

悪質な場合も含めてトラブルでよくあるのは、いろいろな名目でお金を払い続けるというパターンです。ここでは、悪質な場合を見ていきます。
まず芸能事務所の担当者が「君は一流芸能人になれる才能がある」等とこちらの気持ちを乗せて来て、事務所とタレント契約させるのです。そして、まずは身だしなみを整える必要があると言ってグルのエステ店を紹介したり、モデルになるにあたって学ばなければならない歩き方がある等言って高額の教材を買わせたり、さまざまな名目でお金を取ってくるのです。
また、一向にタレントデビューできないため芸能事務所との契約を破棄しようとすると、「ここまで努力したのにもったいない」「芸能人になればお金なんていくらでも入ってくる」等と引き止めてきて、やはりいろいろな名目でお金を取り続けてきます。
詐欺ではないかと思って訴えても、相手が施したことが芸能界デビューにつながらないと立証することは難しいです。例えば、すすめられたエステでほんの少しでも綺麗になったのであれば、相手がこちらを騙そうとしていたと言い切れません。
そこで重要になってくるのは、予め「何にどれだけの費用が掛かるのか、全部でどれだけの費用がかかるのか」をはっきりさせた上で契約することです。
「絶対歌手デビューさせてあげる」と言われて契約したら、本当に歌手デビューできたもののCD製作等経費は自費であり、100万円以上支払ったという例もあります。そうしたトラブルを防止するためにも、憧れる気持ちだけで走らず芸能事務所は自分を「どこまで面倒見てくれるのか」はっきりさせて契約してください。
簡単な仕事の応募から嫌な仕事を強要される

SNS上の広告から手足モデルの求人に応募して、トラブルになった例もあります。顔を雑誌に載せることや全身を写すことに抵抗があっても、手と足が写るだけのモデルならいいかなと思う人もいるかもしれません。また、仕事も簡単そうで気軽に応募してしまうかもしれません。
ところが、面接に行くと、手足のモデルでなく例えばアダルトDVDの出演等違う仕事を勧められたというものです。一見簡単そうな仕事で人を集めて、嫌がる仕事を強要するという手口です。
悪質な場合、契約内容に「事務所の勧める仕事を断れない」条項があったり、そのような重要な条項を契約時にわざと伝えていないということもありますので、契約する前にタレント事務所との間に自分の仕事内容をはっきりさせておく必要があります。
それ以外にも、詐欺なのか両者の食い違いなのか判断はできませんが、タレントの仕事のない時に、事務所のスタッフとして無給で働かされたというトラブルもあります。こうした場合も、事務所に自分の仕事をはっきりさせて契約することで防げるでしょう。
まずは、契約時に自分の仕事をはっきりさせることが重要ですが、トラブルになった場合は消費生活センターや警察に相談しましょう。特に、アダルトDVDの出演等何かを強要された場合は迷わず警察に相談しましょう。警察に通報しても契約は覆せない等言われても、ただの脅しである場合だって多々あります。「契約した自分がいけない」と自己判断は禁物です。本当は非合法である相手に、延々従っていることだってありますので。
契約の重さを教える

悪質な詐欺は論外ですが、こうした芸能事務所との契約トラブルの原因の一つが、契約者自身が契約をかわすことの重さを知らないことにもあります。契約とは、互いに果たす約束事です。一度契約をすると、知らなかったでは済まされません。
確かに現代では「契約内容の内、重要な条項は強調して伝えないといけない」等の決まり事もできていますが、それでも「伝えた」「聞いてない」ということは証明しづらくトラブルになると決着までに長期化してしまいます。余計なことに時間を取られるということです。
是非お子さんたちに、契約するということの重さを伝えてあげてください。また、すぐに契約してしまわず、一晩かけて契約書を全て読む大切さも教えてあげてください。
契約後のトラブルや不安は、消費生活センターに相談しましょう。また、お子さんにも、そうして契約事に関するトラブルは消費生活センターに相談できることを教えてあげましょう。
まとめ
・憧れの芸能界であれ契約する時は冷静に行う
・契約前に何にどれだけの費用がかかるのか、総額いくらなのかを契約時にはっきりさせる
・契約前に相手は何をしてくれるのかはっきりさせる
・募集時と違う仕事をすすめられたら注意
・契約前に自分の仕事をはっきりさせる
・契約することの重さをお子さんに教えてあげる
・すぐに契約を交わさず時間をかけて契約書を読みこむ
・トラブルは消費生活センターや警察へ