日本でも、新型コロナワクチンの接種がはじまりました。日本よりも先にワクチン接種のはじまった外国では発症を予防する効果も見られる等、ワクチンへの期待も高まっている方もおられるでしょう。とは言え、世界的に見てワクチンの供給量もワクチン接種に必要な人員も不足しており、世界でも日本でも誰もがすぐに接種できないもどかしさもあります。
こうした時世を利用してか、「ワクチンを優先的に接種できる」との文言でお金を振り込ませようとする詐欺のような電話も増えています。
本記事では、新型コロナワクチンに関わる詐欺の疑いのある事例や今後詐欺に遭わないための対策等を見ていきます。接種前の今、是非確認してみてください。
詐欺対策のためにも新型コロナワクチン接種の流れをおさえる
まずは、新型コロナワクチンの接種までの流れをおさえておきます。厚生労働省等公的機関のホームページにしっかりと掲載されています。今後変更される可能性もあるので、厚生労働省等公的機関のホームページやニュース等を定期的に確認してください。
以下、2021年2月時点での厚生労働省ホームページを参考に、ワクチン接種の手続きを見ていきます。
接種を行う期間
接種を行う期間は、令和3年2月17日~令和4年2月末までの予定です。1年以上の長いスパンで行われる予定で、その間に手続き方法や予定内容の変更が成される可能性もあります。
接種を行う対象
接種の対象年齢は16歳以上です。ただし、職業や年齢等によって接種の行われる順番もあります。最初は医療従事者の方へ、次に高齢者の方へ、次に高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方へ、最後に16歳以上の一般の方となります。
また、高齢者への接種の開始は、早くても4月1日以降になる見込みです。
接種を受けるための手続き
接種時期の前に、市町村から「接種券」と「新型コロナワクチン接種のお知らせ」が届きます。
・「接種券」等が届いたら、ワクチンを受けることができる医療機関や接種会場を探します。基本は、住所地の医療機関や特設の接種会場等であり、インターネットで検索できるよう「接種総合案内サイト」が設置される予定です。
・電話やインターネットで予約。
・「接種券」と「本人確認書類」を持って、ワクチンを受けに行く。
接種の費用
接種費用は全額公費です。つまり、無料です。
その他
新型コロナワクチンの接種は、強制ではありません。接種を受ける方の同意がある場合に限り接種が行われます。また、接種を受けた後に副反応が起きた場合は、他のワクチン同様に救済を受けることができます。
新型コロナワクチンに関わる詐欺らしき事例
以上、新型コロナワクチン接種までのおおまかな流れをおさえたところで、詐欺と思われる事例を見ていきます。
新型コロナワクチン接種を基に金銭の振り込みを要求される
公的機関を名乗る者から電話があり、「新型コロナウイルスのワクチンが接種できる。キャッシュバックされるので10万円を振り込むように」と電話があったという事例があります。
新型コロナワクチン接種のために必要として個人情報を聞いてくる
公的機関を名乗る者等から電話があり、「新型コロナウイルスのワクチンが無料で受けられる。家は借家か、持ち家か」と尋ねられた事例があります。
新型コロナウイルスの優先接種をちらつかせるメール
ショートメールがあり、大臣の名と「新型コロナウイルス予防接種が優先的に打てる」等の内容の文とアクセスを促すURLが記載されていたという事例があります。
あくまでも筆者の予測になりますが、そのURLは悪意ある者の運営するサイトのURLであり、そのサイトにアクセスした場合は、手続き画面があって個人情報を入力させられたり、クレジットカードでの決済画面があって支払いをさせられたりするのかもしれません。
アメリカでの事例
アメリカでは、ワクチン製造を行う会社であるモデルナの偽サイトが運営されていたという事例もあります。そのサイトには、「新型コロナワクチンを先回りで受けられる可能性がある」「1回30ドル」といった内容の文が記されていたそうです。
「モデルナ」等のワードをgoogleで検索をすると、この偽サイトも検索結果にあがる可能性があり、モデルナの本物のサイトと思いこんだ人は偽サイトに手続き等をしてしまう可能性もあったでしょう。
日本でも今後、公的機関や医薬系の企業のホームページを模した偽サイトが作られる可能性もあるので、警戒は必要です。
新型コロナワクチン詐欺に遭わないために
以上、新型コロナワクチンの詐欺らしき事例を見てきました。
今後詐欺被害に遭わないために必要なことはまず、新型コロナワクチン接種の正当な流れをおさえておくことです。厚生労働省等のホームページには、接種までの流れを詳しく掲載されています。
正当な流れをおさえておくと、上の詐欺らしき事例で見たような金銭を要求されることはあり得ないとわかります。
それから、ワクチン接種の正当な流れをおさえた上で、次の4点には気を付けてください。
①市区町村等公的機関は、ワクチン接種のための金銭や個人情報を電話・メールで求めることはない。
②「優先的に接種できる」方法は現時点ではあり得ないし、ワクチン接種のみならず、うまい話しには裏がある。
③google等検索エンジンは合法なものだけを掲載するわけではない。
④新型コロナワクチン接種に係る手続きやインターネットの扱いは、高齢の方にとって理解しにくい場合もあるので、周囲の人たちの見守りも必要。
新型コロナワクチンの詐欺に遭ってしまったら
国民生活センターでは「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」を開設していて、通話料無料でワクチン詐欺に関する消費者トラブル相談を受け付けています。受付時間は、土曜、日曜、祝日を含む10時~16時で、相談特設番号は0120-797-188。
また、国民生活センター以外にも、消費者庁や厚生労働省、最寄りの警察署にも、新型コロナウイルス関連の電話相談や詐欺被害に関する電話相談を受け付けています。
まとめ
・「ワクチンを優先的に摂取できる」等の文言で詐欺や詐欺未遂も発生している。
・新型コロナワクチン接種に係る手続きを把握しておく。
・ワクチンの接種の流れは厚生労働省等のホームページに掲載されている。
・ワクチン接種を行う期間は令和3年2月17日~令和4年2月末までの予定。
・ワクチン接種の費用は全額公費。
・ワクチン接種の手続きは変更される可能性もあるので今後も情報を収集する。
・ワクチン接種を基に金銭の振り込みを要求された事例がある。
・ワクチン接種のために必要として個人情報を聞かれた事例がある。
・ワクチンを優先的に接種できることをちらつかせるメールが届いた事例がある。
・アメリカではモデルナの偽サイトが運営されていた事例があり、日本でも公的機関や医薬系の企業のホームページを模した偽サイトが作られる可能性もあるので注意。
・市区町村等はワクチン接種のために金銭や個人情報を電話・メールで求めることはない。
・「手続き次第で優先的にワクチン接種できる」は現時点ではあり得ないし、ワクチン接種のみならずうまい話しには裏がある。
・google等検索エンジンは合法なものだけを掲載するわけではない。
・新型コロナワクチン接種に係る手続きやインターネットの扱いは高齢者にとって理解しにくい場合もあるので周囲の人たちの見守りも必要。
・国民生活センターでは「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」を開設している。
・消費者庁や厚生労働省や最寄りの警察署にも、新型コロナウイルス関連の電話相談や詐欺被害に関する電話相談を受け付けている。
参考サイト
◆国民生活センター「『新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン』をご利用ください」
◆国民生活センター「新型コロナウイルス感染症関連」
◆厚生労働省「接種についてのお知らせ」
◆消費者庁「便乗悪質商法の注意喚起!」
◆ウォールストリートジャーナル日本語版「米コロナワクチン詐欺、優先入手の偽サイトも モデルナやファイザーになりすます」
◆BBC NEWS JAPAN「ワクチンの予防効果、「実世界」でも94% イスラエルの研究」