犬は、人間にとってもっとも古い友であると言われています。
かつては狩猟の相棒として、ある時は心を安らがせてくれるペットとして、そしてある時は人間の命と安全を守るための同僚として活躍してきた犬たち。
今回はそんな犬のなかから、「災害救助犬」について取り上げましょう。
災害救助犬の役割とは
そもそも、災害救助犬とはどのようなものなのでしょうか。
彼らは「レスキュードッグ」とも呼ばれています。名前からもわかる通り、天災時などにおいて活躍する犬です。
彼らの使命は、天災の起こった場所に赴き、そこで行方不明になっている人たちを探し出すことにあります。
犬は、人間よりもはるかに優れた嗅覚を誇ります。その嗅覚を生かし、人間では見つけられないようなところ(土砂の下など)にいる要救助者を探し出し、人間にそれを伝えるのです。
このような役目を担う彼らは、ほかの犬とは異なる、厳しい訓練を受けます。ほふく前進ができるようになったり、障害物をものともせずに歩けるようになったり、人間が傍にいなかったとしても声だけで命令を聞けるようになったり・・・・・・。
彼らはその任務中、食べ物の匂いに反応することもなく、その任務を全うします。また、創作だけでなく、おぼれた人を助けるための訓練や、雪のなかで捜索するための訓練なども受けます。
「サーチ」という言葉で、要救助者を探し出す彼らは、まさに人間にとって「救いの犬」なのです。
311、彼らは命を助けようと働いた
2011年の3月11日、あの痛ましい震災のときにも、災害救助犬は活躍しました。
しかしこのときの出来事は、犬にも悲劇をもたらしました。
災害救助犬の任務は、上でも述べたように、「人を助けること」です。
しかしあまりにも多くの人の命が失われてしまったあの大震災のとき、災害救助犬が人を探し当てても、その人はすでに亡くなっていた……ということもよくありました。
災害救助犬は本来、「生きている人間の匂いを察知すること」で活躍します。あまりにも多くの亡くなった方と接したため、彼らのなかには、災害救助犬の命とも言うべき「嗅覚」が働かなくなってしまった犬もいたのです。
しかし彼らの多くは、たとえ災害救助犬として活躍できなくなった後でも、彼らを愛する買い主の元で安らかな生をまっとうします。
犬が人間の友であるように、人間もまた犬の友であるからです。
まとめ
・災害救助犬はレスキュードッグとも呼ばれる
・匂いによって要救助者を探し出す
・救助のために厳しい訓練を受けている
・3.11のときに、亡くなった方を探し当て続けたために、災害救助犬として活躍できなくなってしまった犬もいた
参考サイト
◆DIAMOND Online「嗅覚を失うまで行方不明者を捜し続けた“小さな勇者”
災害救助犬が被災地で見た「とり残された弱者」の悲哀」
◆認定NPO法人 日本レスキュー協会「災害救助犬について」