東日本大震災では、電気・ガス・水道といったインフラも壊滅的被害を受けました。インフラの中でも断水被害は生命活動に直結しやすく、見過ごすことはできません。
今回は東日本大震災発生時の断水被害にスポットをあて、大規模災害発生時の水道事情について理解を深めるとともに、断水に備えて用意すべきグッズについてお伝えします。
大規模災害時の水道事情~東日本大震災の場合~
厚生労働省の調査によると、東日本大震災における断水戸数は19都道県、267水道事業者で約257万戸であったことがわかります。断水は地震の揺れや津波によって甚大な被害を受けた岩手県、宮城県、福島県だけでなく、液状化現象が発生した茨城県、千葉県でも被害が発生しています。
また、停電による断水にも注意が必要です。厚生労働省の発表では、総断水戸数のうち停電による断水戸数は約76万戸にのぼり、首都圏のマンションなどでも確認されています。大規模地震が発生した時は、地震そのものの被害が比較的軽微であったとしても、停電で断水が発生する可能性を念頭に行動しましょう。
東日本大震災における断水は、被害が比較的軽微であった群馬、埼玉、東京、神奈川、山梨、静岡、青森県・秋田県の北西部では、3月13日の時点でほぼ解消されました。一方で、被害が甚大であった東北地方、茨城、千葉でおこった断水は、一部を除いて3~4週間で解消されています。これらのことから大規模災害発生時は多くの地域で断水が発生し、解消されるまでに時間のバラつきがあることがわかります。断水対策を行う時は、長期間の断水も視野に入れた対策を行う必要があると言えるでしょう。
断水に備えて準備しておきたいもの
①飲料水
災害時は飲み水を確保することが先決です。防災グッズを準備する時は、必ず飲料水を備蓄しましょう。飲料水は1人あたり1日3リットルと考えられています。「3リットル×家族の人数分×3日分」の飲料水を備蓄しておくと安心です。備蓄する飲料水はスーパー等で購入できるミネラルウォーターで構いませんが、長期保存が可能な災害備蓄用飲料水を準備しておくと、備蓄を頻繁に交換する手間が省けます。
②飲料水袋・ポリタンク
大規模災害で断水が起こった時は飲料水の応急給水が行われるため、水を確保・保存するための飲料水袋やポリタンクを備蓄しておきましょう。飲料水袋は使わない時は畳んで備蓄できるので場所をとりません。防災リュックの中にも収納できるので、避難時に邪魔になることもないでしょう。
③簡易トイレ
断水が起こるとトイレが使えなくなります。下水道管が破損している場合は、トイレを流すための水を備蓄しておいたとしても、排泄物を流せない状態が続きます。排泄物を便器内に放置しておくと不衛生ですし、感染症や食中毒の原因になります。災害時のシビアなトイレ事情を考慮し、水が無い状態でも使用できる「簡易トイレ」を備蓄しましておきましょう。簡易トイレは、「人間1人の1日分のトイレの回数(約5回)×家族の人数×7日分」を備蓄しておくと安心です。
※簡易トイレの種類・代用品についてはこちらも参照してみてください
防仁学記事「地震で被災した時のトイレ事情! あらかじめ備えておきたいものとは」
まとめ
・東日本大震災では約257万戸で断水が起こった
・断水は被害が甚大な地域を始め、震源地から比較的離れた場所でも発生した
・断水は停電で発生することもある
・断水に備えて「飲料水」「飲料水袋・ポリタンク」「簡易トイレ」を備蓄しておく
参考サイト
◆厚生労働省:「水道施設の耐震化の推進」
◆厚生労働省:「断水状況とその要因」
◆防仁学:「地震で被災した時のトイレ事情! あらかじめ備えておきたいものとは」