各地で土砂災害が発生しています。土砂災害は身近な災害であり、また命に直結するため、日頃から警戒心を持つとともに、早めに避難をすることが大切です。
土砂災害とは土砂が移動することによって発生する災害のことで、「崖崩れ」「土石流」「地滑り」の3種類があります。それぞれどのような被害があるのか、どのような前兆があるのかということへの理解を深め、命を守る行動につなげましょう。
崖崩れ
崖崩れは斜面が急激に崩れ落ちてくる現象です。集中豪雨や地震に伴って発生することがあり、最も発生件数が多い土砂災害の一つです。人が住んでいる場所の近くで発生しやすく、人的被害につながりやすいです。
崖崩れが起きる前には、「小さな石がコロコロと落ちてくる」「斜面に亀裂が見られる」「斜面から水が噴き出す」「崖から湧き出る水の量に変化がある」などの前兆が現れます。突然起きることも多く、注意が必要です。
崖崩れは急斜面や水の集まりやすい斜面に注意が必要です。過去に崖崩れがあった場所にも注意しましょう。
土石流
土石流は谷や斜面にたまった土砂が、大雨などによって一気に流れてくる現象です。流れてくるスピードは時速20キロ~40キロ程度ととても速く、破壊力が大きいという特徴があります。2021年に熱海市で発生した土石流は記憶に新しいでしょう。
土石流が起きる前には「地鳴りがする」「木の葉や木の枝などが流れてくる」「雨が降っているにもかかわらず川の水位が下がる」などの前兆が現れます。
土石流は急こう配の渓流や、上流で崩壊があった渓流などで起こりやすいです。過去に土石流が起こった場所に、特に注意しましょう。
地滑り
地滑りは粘土層などの滑りやすい斜面が、雨水の影響などによってゆっくりと動く現象です。土砂災害は急斜面で起こるイメージがありますが、地滑りは比較的緩やかな斜面でも起こります。地滑りは広範囲に渡って地面が動くため、住居や道路など生活圏に大きな被害をもたらすことがあります。
地滑りが起きる前には「地面に亀裂が入る」「井戸水が濁る」「木や電柱、家屋などが傾く」などの前兆が現れます。
土砂災害に備え、日頃からできること
土砂災害から命を守るためには、日頃から危機意識を高め、災害発生前に避難をすることが大切です。
土砂災害が起こりやすい場所は「土砂災害危険箇所」「土砂災害警戒区域」に指定されています。自宅・会社・学校周辺、通勤通学経路上の土砂災害危険箇所や土砂災害警戒区域を、ハザードマップで確認しておきましょう。ハザードマップで示される場所以外にも、身近に土砂災害が起こりやすい場所(急斜面・水の集まりやすい斜面・急こう配の渓流など)がないか、日頃から注意深く観察しましょう。
命を守るためには、速やかな避難が大切です。日頃から避難場所・避難経路を確認してください。避難経路を計画するときは、土砂災害危険箇所や土砂災害警戒区域を避けてルート設計をしてください。川の近くや水路の近くも流される可能性があり、危険です。様々な観点を取り入れて設計しましょう。ルート設計を行ったら、実際に歩いてみることが大切です。
大雨や台風などが近づいているときなど、土砂災害が起こりやすい状況が整っているときは、情報収集に努めてください。土砂災害の前兆が見られるときや、少しでも危険だと感じたときは、早めに避難をすることが大切です。2021年5月に避難情報が変更になりました。「高齢者等避難」が発令されたときは、高齢者や避難に時間のかかる方はすみやかに避難を開始してください。それ以外の人は自主避難の目安にしたり、避難への心づもりや準備を行いましょう。「避難指示」が発令されたときは、全ての人が避難を開始してください。
「日頃から危機意識を持って備えること」「早めに避難をすること」「少しでも危険を感じるときは速やかに避難をすること」を意識し、命を守る行動を取りましょう。
まとめ
・崖崩れは急斜面が雨や地震などの影響により崩れてくる現象
・土石流は谷や斜面にたまった土砂が、大雨の影響によって一気に流れてくる現象
・地滑りは滑りやすい斜面が、雨の影響などによりゆっくり動く現象
・それぞれの前兆を理解し、注意しよう
・事前にハザードマップで土砂災害危険箇所や土砂災害警戒区域をチェックしておく
・安全が確保できるうちに早めに避難をし、命を守る