有事の際に、国民を助けるために活躍する自衛隊。
東日本大震災のときにも、彼らの活動は多くの人を救いました。
今回は、災害時における自衛隊の働きについて見ていきましょう。
自衛隊は「組織」として運用される
自衛隊は、非常に系統だった組織です。
そのため、災害時の対応も組織によって行われます。
災害が発生すると、市区町村長や、都道府県の知事・海上保安庁長官などがそれを把握します。市区町村長はその後、災害派遣要請の要求を都道府県の知事などに出します。
市区町村長は災害状況報告を、都道府県の知事などは災害派遣要請を、大臣または大臣の指名する者に出します。
報告を受けた者は、自衛隊に対して派遣命令を出します。この派遣命令に基づいて、自衛隊は災害救助に赴くわけです。
ちなみに、基本的には上で挙げた工程に従いますが、緊急事態と判断される場合は、要請を待たずに自衛隊が動くこともあります。
災害が起きた際、彼らは何をするのか
自衛隊の災害時の活躍というと、「倒れた家屋から人を救いだす」「炊き出し」などがよく取り上げられます。
もちろんこれらも非常に大切な活躍なのですが、それ以外にも、消火活動を担当したり、行方不明者の捜索に当たったりします。
東日本大震災で彼らは、約20000名の命を救ったと言われています。また、470万食を超える給食を提供し、100万人近い人にお風呂を提供しました。
そのために派遣された人の数は、合計で980万人を超えると言われています。
ちなみに、以前起こった未曾有のテロ行為である地下鉄サリン事件にも自衛隊は派遣されています。
さまざまなところで被災者のために活動する自衛隊員ですが、彼らの任務は非常に過酷なものです。
以前紹介した、「活躍する救助犬、大地震災害そのときに」で「大震災のときの救助活動が元で嗅覚を失い、働けなくなった災害救助犬もいる」としましたが、これは人間でも同じです。
どこの所属かによっても異なりますが、震災の災害救助にあたった隊員のなかでトラウマの高リスク者として判断されえた人は、全体の2.2~6.5パーセント程度にも上るということです。
「自衛隊の存在」については、さまざまな人がさまざまな意見を持っています。
しかし彼らが災害時において、その過程で心に傷を負おうとも自らの職務をまっとうし、多くの人の命と生活を救ったことは、まぎれもない真実です。
まとめ
・自衛隊は系統だった組織である
・東日本大震災において、20000名近くの人を救っている
・このときの働きが元で、トラウマを負った人もいる
参考サイト
◆陸上自衛隊「災害派遣の仕組み」
◆防衛省・自衛隊「各種災害への対応について」
◆NEWポストセブン「人命救助2万人、遺体収容1万体 自衛隊の災害派遣の実績」
◆読売新聞「震災派遣の自衛隊員、トラウマ・うつ発症の恐れ」