身近な人が性犯罪にあってしまったとき、当人はもちろんのこと、周囲の人も当然動揺します。
あなたがその「周囲の人」の立場になったとき、どのように振るまえばよいのでしょうか?
絶対に被害者を責めないこと
被害者となった人を心配するあまり、その人のことを責めたててしまう人がいます。
子どもが被害者になった場合は、「あんなに言ったのに、どうして知らない人についていったの!」
女性が被害者になった場合は、「そんな短いスカートで、夜に歩いているからだ!」
男性が被害者になった場合は、「あなたも男性なのに、なぜ抵抗できなかったのか!」
などです。
これらは確かに相手を心配しての言葉からかもしれません。また、冷静さを失ってつい感情が口をついてしまうこともあるでしょう。
しかしこのように責められた被害者は、「自分がきちんとできなかったから、こんな格好をしていたから、弱かったから被害にあってしまったのだ」と自分を責めることになります。このような自責の念は確実に被害者を追いつめてしまいます。
責められるべきは、あくまで犯罪者ただ一人であり、それ以外のだれでもありません。
「第二の加害者」となって被害者を責め立てるようなことは、決してやってはいけません。
寄り添い、あなたは悪くないというメッセージを
性犯罪に限ったことではありませんが何か大きな悲しみに遭遇したときに、人に話すことで気持ちを整理する人もいれば、話すのがつらいと思う人もいます。
前者の場合はよく寄り添い、時間をかけて相手の言葉を聞きましょう。決して「早く話して」「同じことを前も聞いた」などのような言い回しをしてはいけません。
また逆に、「話すのがつらい」という人に対しては、無理に状況を聞き出そうとしてはいけません。
話された内容、あるいは話さないでいることに対して、「判断」「結論」を出すことはやめてください。
被害者が自責の念にとらわれているときは、「あなたは悪くなかった」ということをきちんと伝えてください。「100パーセント加害者が悪かったのだ」というスタンスでいましょう。また、特に子どもの場合、性犯罪にあった後は行動に異常がみられることもあります。これによって性犯罪があったことに気づくケースもありますが、そのような異常行動を「この子がおかしい」として無理やり矯正するようなことは慎むべきです。
「性犯罪にあったけど、かわいそうだから警察には行かない」「病院には連れて行かない」というような行動はとるべきではない、と専門家は指摘します。これらは確かに痛みを伴うことではありますが、何もしなかった場合は「自分は弱い人間だから、立ち向かえなかった」という思いを抱かせることにもつながるからです。
まとめ
・決して被害者の非を責めてはいけない
・話すことを望んでいる被害者の話はよく聞く必要があるが、無理に聞き出すことはやめる
・被害者の味方でいることを望まれるが、安易に「何もしなくて良い環境」に被害者をおいてはならない