「性犯罪が増えた」「昔はこうではなかった」という論調を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
これは本当にそうなのでしょうか?
性犯罪の統計を見ていきましょう。
強姦事件・強盗強姦事件は減少傾向、わいせつ事件は増加傾向
性犯罪を、「強姦事件」「強盗強姦事件(金銭も目的とするもの)」と「強制わいせつ」「わいせつ目的略取誘拐(連れ去りなど)」の4つに分けてみていくと、非常に特徴的なことが分かります。
強姦事件は昭和39年をピークとしており、平成26年にはその4分の1以下になっています。また、「強盗強姦事件」は昭和23年をピークに、平成26年にはその認知件数が8分の1程度にまで減少しています。(検挙率自体は、もっとも多い時ともっとも少ない時でほとんど変わりはありません)
対して、強制わいせつ事件の認知件数は、昭和41年から平成26年までの間では平成26年がもっとも検挙件数が多くなっています。
わいせつ目的の略取誘拐の場合は、検挙件数は平成17年がもっとも多く、検挙された人数がもっとも多いのが平成26年です。
平成29年に性犯罪は非親告罪になりましたが、この統計のときはまだ性犯罪が親告罪でした。そのため、実際にはこれ以上の犯罪者がいて、その犯罪者に苦しむ女性がいます。
また、検挙率と認知件数、検挙件数、検挙人数はすべて違うものであることも留意しなければなりませんが、それでも、少なくない数の人が被害にあっていることは知っておくべきです。
犯行現場はどこが多い?
「強姦事件」というと、「見知らぬ男性に夜道で襲われて」という状態を想像するかもしれません。しかし、強姦事件のうちの実に50パーセント近くが、住宅で発生しています。また、ホテルや飲食店で起こった割合も22パーセントを越えています。屋外で襲われた、というのは、わずか18パーセント程度です。
対して「強制わいせつ」の場合は、そのうちの実に半分以上が屋外で起きています。
強姦事件は、親しく付き合っていて信頼していた相手が犯罪者となるケースもあり、決して油断ができません。
また、女性は7~8人に1人が性犯罪の被害者となっています。男性の場合でも、330人に1人程度の割合で被害にあっています。
性犯罪は、決して「対岸の火事」ではないことが、ここからもわかります。
まとめ
・強姦事件や強盗強姦事件は減少傾向にある
・わいせつ事件の場合、検挙される人間の数は増えている
・強姦事件のうちの7割近くが屋内で起きている
・わいせつ事件は屋外が多い
・男性も女性も被害者になりうる