「雪害によって多くの人が亡くなっている」というと、雪国出身の人以外は不思議に思うのではないでしょうか。
しかし毎年、決して少なくない人の命が、雪害によって奪われています。
80人以上の人が亡くなっている! けが人はさらに多い
総務省消防庁が2015年に出した、「今年の雪による被害状況等」によれば、この年の1年間の雪害による死亡者は、なんと83名に上っています。
さらに、「負傷者」の数になるともっと増えます。
重症を負った人の数は460人、軽傷者にいたっては570人と、決して少なくない人が、雪害によって苦しめられているのです。
また、住宅が受ける被害も見過ごせません。
同年、雪害によって全壊した家は9棟。半壊は12棟、一部損壊は186棟となっています。床上浸水と床下浸水にいたった家はあわせて27棟と、30棟に届こうとする勢いでした。
人を死においやるもの…それが「雪下ろし」
「雪害での死亡」というと、多くの人が、「雪崩による死亡」を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、統計的に見れば、雪崩で死亡にいたるケースは決して多くはありません。
同年のデータでは、雪崩で死亡した人はわずか2名であり、全体の40分の1以下にすぎないのです。
では、どのようなことが原因で、人は死に追いやられるのでしょうか。
実は、雪害による死亡者でもっとも割合が多いのは、「屋根の雪下ろしをしていたり、除雪をしていたりした時に亡くなった」というものです。
これによって67人もの人が死亡しており、雪害による死亡者のうちの8割程度を占めています。特に65歳以上の人がよく被害にあい、67人のうちの52名もの方が雪下ろしが原因で命を落としています。
雪下ろしの時のもっとも怖い事故は「屋根からの転落」です。必ずヘルメットを装着して、命綱も使って慎重に作業をしましょう。
また、複数人で作業することも大切です。雪下ろしのときに最も警戒すべきことは「転落」ですが、雪に埋まってそのまま命を落とす…という可能性も充分あります。落雪などで埋まってしまった場合、15分以内に救助すれば高い確率で助かりますが、それを過ぎると非常に危険です。
屋根からの落下でも、雪に埋まった場合でも、ほかの人がいればすぐに救助を行うことができます。
まとめ
・80人を超える人が、雪害によって死亡している
・雪崩などではなく、屋根の雪下ろしや除雪による死亡者がもっとも多い
・雪下ろしの作業を行うときは、転落と、雪に埋まってしまうことに注意
・必ず2人以上での作業を!
参考サイト
◆総務省消防庁:「今年の雪による被害状況等」
◆国立研究開発法人・防災科学技術研究所・雪氷防災研究センター:「屋根雪の事故を防ぐための注意点」