皆さんは正しい「心肺蘇生法」をご存知でしょうか?
今回は2015年に新しく改正されたガイドラインに則した心肺蘇生法の手順(ABC)と、新生児や小児の場合の心肺蘇生法をご紹介します。
防仁学ではさらに詳細な心肺蘇生法やAEDを用いた心肺蘇生法も解説していますので、そちらも合わせてご覧になることをオススメします。
心肺蘇生法1 ガイドラインの改正とは?
「心肺蘇生法のガイドラインが改正された」という話題を耳にされたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
心肺蘇生法は5年ごとに更新されていて、最新のガイドラインは2015年版になります(正式名称はJRC蘇生ガイドライン2015)。
参考リンク
◆日本蘇生協議会「JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版を公表致します」
心肺蘇生法2 覚えておきたい手順ABC
心肺蘇生法は、A・B・Cの手順で行いと良いと言われています。
ここではその方法について簡単にご紹介しましょう。
実施するときは無理をしないで、確実に行うようにしてください。
A(Airway/気道の確保)
最初に心肺蘇生法を施す対象者を仰向けにしてください。
次に片手で額を押さえながら、反対の手で顎を上向かせます。
首や頭を損傷していることもあるので、ゆっくり行うことが大切です。
口の中を見て異物があるときは、できるだけ取り除いてあげましょう。
B(Breathing/呼吸の確認)
次のことを同時に行って呼吸の有無を確認してください。
「耳を対象者の鼻に近づけ呼吸音を聞く」「胸が上下しているか見る」
※対象者が腹式呼吸をしている場合は、お腹が上下していることもあります。
呼吸をしていないようなら人工呼吸をする必要がありますが、人工呼吸に抵抗を感じるか方や、唇や口内に怪我をしている方は無理に行わないほうが良いでしょう。
C(Circulation/胸骨圧迫)
Circulation(サーキュレーション)とは「循環」という意味です。
ここでは胸骨圧迫(心臓マッサージに変わって、現在ではこのように呼ばれることが多いようです)を指します。
胸の中央付近を手のひらの付け根で圧迫してください。
目安は1分間に100回ほどです。
他使用者に対して、自分の腕が垂直に当たるようにするとより効果的です。
心肺蘇生法の手順は、防仁学のこちらの記事でも詳しく解説されています。
参考リンク
◆救急医療週間「応急処置の方法知っていますか?(2)心肺蘇生法」
心肺蘇生法3 小児や新生児の場合
小児や新生児の心肺蘇生法は大人(成人)とは異なる部分がありますので、ここではそれを解説します。
とくに明記していない部分は大人と同じ対応で良いでしょう。
年齢別の区分ですが、新生児(生後28日未満)、乳児(1歳未満)、小児(1歳以上8歳未満)とされることが多いようです。
意識の有無の確認
新生児・乳児:名前を呼ぶなどするとともに、足の裏に刺激を与えて反応があるかを確認。
人工呼吸
新生児・乳児:口対口鼻人工呼吸もしくは口対鼻人工呼吸。
※口鼻人工呼吸は、口と鼻を同時に口で覆って行う人工呼吸法です。鼻人工呼吸は、鼻だけを口で覆って行います。
胸骨圧迫
新生児・乳児:大人よりも指1本程度下側。
小児:胸骨の下半分。
参考リンク
心肺蘇生法4 AEDについて
心肺蘇生法にはAED(Automated External Defibrillator/自動体外除細動器)を使う方法もあります。
AEDは電気ショックにより心室細動を治める効果のある医療器具です。
使用するために資格などは必要ありませんので、お住まいの地域でAEDの講習会などがあったら、ぜひ参加してみてください。
災害のときのも役立つことが期待できます。
※心室細動とは、心臓の筋肉が細かく震えて全身に血液を送り出せない状態のこと。
参考リンク
◆救急医療週間「応急処置、知っていますか?(1)AEDの使い方」
まとめ
◆心肺蘇生法のガイドラインは5年ごとに改正される
◆心肺蘇生法の手順はABCが大切
◆小児や新生児の心肺蘇生法は大人とは異なる部分がある
◆AEDを使うのに資格は必要ない