「シートベルト」は、事故が起こったときに私たちを守ってくれる非常に心強い存在です。
ただ、「シートベルトにはそもそもどのような歴史があるのか」「着用率はどれくらいなのか」「シートベルトによって本当に事故は減っているのか」などについては、実感としてわかっていない人も多いはずですね。
ここでは、シートベルトにまつわるさまざまな知識と、そしてこれが実際にどのような効果を挙げているかを見ていきましょう。
シートベルトの歴史とは
シートベルトの開発のきっかけは、1899年のイギリスの事故によるものだったと考えられています。
日本でも1969年に、「すべての新車にはシートベルトをとりつけよ」とする法律が出され、1971年には高速道路での使用が義務付けられました。ただこれは、運転手のみに着用が義務付けられたものでしたし、一般道路では着用していなくても構いませんでした。また、罰則規定もありませんでした。
1985年にはようやく、「助手席の者も運転席の者も、高速道路での着用を義務付ける。違反した場合には罰則もある」と代えられました。さらに、1992年には一般道路でも義務付けられるようになり、2000年にはチャイルドシートの設置義務が課せられるようになりました。そして、2008年には、高速道路などでは後部座席もすべて着用するべきとされ、罰則規定も設けられるようになりました。
現在の普及率
現在、シートベルトは「着けていることが当たり前のもの」になっています。高速道路でも一般道路でも、運転席及び助手席の着用率は95パーセントを超えています。高速道路で運転手が着用している割合は99.5パーセント、助手席も98.3パーセントです。一般道路でも、運転席は98.6パーセント、助手席は95.2パーセントとなっています。
後部座席での着用率は、まだ低いのが現状です。高速道路の場合は74.4パーセントが着用していますが、罰則規定のない一般道路では36.4パーセントにすぎません。
また、正確な数字を割り出すのは難しいのですが、高速バスでの着用率はもっと低いとみられています。
西欧諸国においては、観光バスでのシートベルト着用が徹底されています。バスに乗ればアナウンスがされたりシートベルトを着用が確認できないと出発しないという措置をとっていたりするところも多く、見直しも求められています。
高速バスは、プロの暗転に任せるために安心しきっている人も多いことでしょう。しかし2016年には「軽井沢スキーバス転落事故」という痛ましい事故が起きています。41人中15人がお亡くなりになった事故ですが、被害を悪化させた原因の一つとしてシートベルトの非着用があったとされています。
シートベルトの着用は、「法律を守るため」だけにあるのではありません。もちろんそれも重要ですが、一番大切なのは、「命を守るためにシートベルトをする」という考え方なのです。
まとめ
・シートベルトの着用は、義務ではない時代や罰則がない時代があった
・現在は後部座席でも着用が義務付けられており、高速道路で非着用の場合は罰則もある
・着用することで、大きく致死率を下げられる
・高速バスでもしっかりとシートベルトを!
参考サイト
◆内閣府:「平成25年度 交通事故の状況及び交通安全施策の現況」
◆警察庁:「シートベルト着用状況全国調査」
◆廃車ドットcom「義務化になったシートベルトについて」