「血が出たときは、心臓に近いところを縛って止血をする」
このような止血法は、だれもが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
たしかにこの応急手当も、決して間違いではありません。
しかし、「縛ればOK」というわけではないのも確かです。
ここでは、正しい止血法(出血した時の応急手当)」についてお話していきます。
「縛る前」にやりたいこと
「血が出たら血管を縛って出血量を抑えるのが最善の応急手当である」と考えている人もいるかもしれません。
しかし実はこれは最善とは言えない場合もあります。
もっとも望ましい止血法は、「傷口」にアプローチする方法です。布を傷口に当てて押さえつけて血をとめます。このときに使う布は、
・傷口よりも大きくて
・清潔で、汚れがないもの
でなければなりません。タオルやガーゼが理想的です。
また、処置をする側も、手袋(ビニール製)を使いましょう。こうすることによって、けが人の血液を介して起こる感染症を防ぐことができます。たとえば、不治の病として知られているAIDS。これは血液を媒介としてうつります。指先などに自分でも自覚していない傷があった場合は感染する可能性があるので非常に危険ですから、人の手当てをする場合は、特にこれに気をつけましょう。
基本的には片方の手のひらで圧迫して血を止めますが、それでも血が止まらないという場合は、両手を使ってしっかりと圧迫しましょう。
これを直接止血法と言います。
「縛る」はそれができないときの手段
止血法の一つである「縛る」という方法は、上記で挙げた応急手当が使えないときの手段です。たとえば、まわりに清潔な布がない、という場合ですね。
この場合、傷口よりも心臓に近い位置を縛ります。そうすることによって血液の流れを遮り、圧迫することができます。
このときは、肌や神経を守るために、広めの布やヒモを使わなければなりません。幅の目安となるのは「3センチ」です。なお、この方法の場合、「ずっと縛りっぱなし」にしておいてはいけません。1時間以上縛ったままにしておくと、壊死の可能性がでてきます。その為、30分に一度は緩めてあげるように出来ればよいでしょう。但し、再び出血が始まり抑えられなくなる場合があるので、一人で止血している時は外さないようにしてください。いつ止血したかを記録して、迅速に医療機関へ搬送する事を優先しましょう。。
これを間接止血法と言いますが、適切な道具がない時はオススメ出来る方法ではありません。
しかし、足から大量の血が出ている場合や腕を切断したといった場合は重要な応急処置になります。
これらの応急処置を施せば、軽いけがの場合はほどなくして出血が止まるでしょう。また、大けがで救急車を呼んでいる、という場合でも、この応急処置をしていれば助かる可能性を高めることができます。
まとめ
・止血法で一番望ましいのは、布を使って傷口を押さえて止血する方法(直接止血法)
・それがない場合は、心臓に近い部分を縛って血を止める(間接止血法)
・縛ってとめる止血法をとるときは、細すぎるヒモを使ってはいけない。
参考サイト
◆株式会社クオリティー「止血法で生存率をあげる」
◆ヘルスケア大学「出血の種類と正しい止血方法」
◆職業感染制御研究会「血液媒介感染症」
◆看護師国家試験過去問題集