2011年に起こった東日本大震災の悲劇として大川小学校の話があります。
これは、子どもの避難に関して親への引き渡しを前提にしたルールと保護者への不徹底や津波からの避難先に指定されていた小学校自体が津波に巻き込まれてしまったという事実といった複数の要件が重なり起こってしまいました。
この様な悲劇を繰り返さない為にはどの様にすればいいのかを考えつつ、子どもを守るにはどの様な保育園や幼稚園が災害に強いのかを考えてみました。
大川小学校の反省点
判断の遅れ
文部科学省に提出された大川小学校事故検証報告書を読むと、当時の教職員に対して以下のような事が不足していたと考えられます。
①防災訓練の不徹底
震災時に大川小学校が津波からの避難指定場所となっていた事からも分かる様に、防災対策は東日本大震災の被害規模に対して不足したものでした。
加えて、児童の引き渡し訓練が行われていない状態で、災害時のルールとして引き渡しが定められており、集団避難に関しては校庭までの避難訓練はされていたものの、そこから更に安全な3次避難場所への集団避難訓練は行えていない状態でした。
そもそも、3次避難場所に関して充分な検討が出来ておらず、災害当日に河川の堤防が近い三角地帯へ移動しようという判断となり逃げられなかったと考えられます。
移動判断のタイミングも、津波がすぐそこまで迫っている状態で判断しており、事前に3次避難場所を定める事が出来ていれば、より迅速に避難出来た可能性があります。
②土地に対する知識不足
発災時に大川小学校に務めていた教職員は、赴任してから日の浅い職員が多かったと記録されています。
その為、学校が津波に巻き込まれる可能性や、より安全な避難場所に関する想像が出来なかった可能性があります。
避難しなければいけないという認識があっても、何処に避難すればよいのか分からなかったのが判断の遅れの一因と考えられます。
③連絡体制の不備
これは事後対応の問題ですが、幸運にも津波に巻き込まれず生存した教職員が、避難先ですぐに緊急救助活動などの要請を出せなかった事が記録されています。
心神喪失といった原因は考えられますが、教育委員会側も教職員とコンタクトを取りすぐに情報を収集できなかった事から、少しでも人命を助ける為に連絡体制を確立させる事が課題として取り上げられています。
保育園や幼稚園に求められる防災意識
マニュアル対応だけではダメ
経済産業省では保育園や幼稚園といった保育施設向けの防災ハンドブックを作成しています。
ここでは、災害が起こった時に起こる問題点を取り上げていますが、特に注目すべきなのは想定された対応では足りなかった事例が挙げられている事です。
マニュアル通りに避難させるだけでは、子どもの命が守れないと考えて、職員らが自ら行動を起こした事例が紹介されています。
どんなに防災設備が整い、マニュアルがあったとしても、それを使いこなして被害に応じて柔軟に行動できる職員に代るものではありません。
保育園や幼稚園を訪れた時に、災害に対する対応を聞くだけでなく、災害に対する心構えや想定外の事が起こったらどうするかを尋ねてみるのも良いでしょう。
保育園や幼稚園も子どもの命を大切に預かる施設です。
慎重に考えて選びたいですね。
まとめ
・大川小学校の教訓から教育設備の防災に対する問題が分かってきた
・マニュアル対応だけでなく、いざという時に柔軟に対応出来る保育施設は災害に強い