いよいよ進入学まで1ヶ月を切り、新入生を持つご家庭ではその準備に慌ただしい日々を過ごしておられると思います。
学校から準備して欲しいと言われたものを揃え、そのすべてに名前をつけたり、通学路をお子さんと一緒に歩いて練習したり、忙しいながらも嬉しい時期ですね。
でも、入学準備はそれだけではありません。
今回は、おざなりになりがちだけれど、実はとても重要な新入学前の準備についてご紹介します。
生活リズムを整える
小学校に入学すると、今までよりも早い時間に家を出ることになる子どもは多いのではないでしょうか?
その中でも、朝は親に起こされ、朝食もほどほどに、自転車の後ろに飛び乗って、幼稚園や保育園に向かうという生活をしてきた子どもは要注意です。4月からは、決まった時間に起きて、子供だけで登校し、授業を受ける生活が待っています。登校前がバタバタだと、1日のスタートから出遅れて、ただでさえ慣れない学校生活が、さらに大変なものになりがちです。
その影響は生活面だけでなく、学習面にも及んでしまいます。
登校までに余裕のある起床時間を定め、そこから逆算して就寝時刻を決めましょう。ちなみに小学生の理想的な睡眠時間は10時間以上と言われています。朝7時に起きるならば、9時には寝る(寝ている)ということですね。
入学してしばらくは新しい環境の中、ただでさえ疲れるものです。ここで、体調を崩して欠席が多くなると、その間に友達のグループが出来上がってしまったり、授業に遅れたりと、学校に馴染むのに時間がかかってしまうかもしれません。
生活リズムの見直しは短期間ではできませんよね。
起床時間を早めるのは大人でもなかなか難しいこと。
3月になったら、4月以降の起床時間に合わせて、起床時刻と就寝時刻を決め、それに合わせた生活を心がけましょう。
ひらがなは読めるように、名前は書けるように
入学前の説明会、学校側から「勉強は入学後にしっかり指導しますから、入学前に無理して準備をしなくていいですよ」などの説明を受けることがあります。
これは、どの程度に受け取ったらいいのでしょうか?
わたしの経験から言うと、授業内容を先取りする必要はないけれど、ひらがなの読み書きはある程度できるようにしておく方が良さそうです。自分の名前の読み書きと、ひらがなの読みは出来るようにしておきましょう。実際、机や下駄箱やロッカーには、児童の名前がひらがなで書いてあり、そこを使うことを当たり前のように求められます。
そんなとき、同級生のほとんどが文字を読んで、スムーズに行動できる中、一人だけ全く読めず、みんなに遅れをとるのは、子どもにとってかなり辛い状況です。「自分はだめなんだ」と最初にコンプレックスを持ってしまうと、その後の学校生活がなかなかうまくいきません。
入学前には、ひらがなが読め、自分の名前が書けるようにしておきましょう。
自分の持ち物を管理できるようにする
小学校に入学すると、自分のものは自分で管理することを求められます。
今まで、親が準備をしてあげていた家庭では、子ども自身に自分の持ちものを管理させるよう、このタイミングで切り替えましょう。
まずは、幼稚園や保育園の翌日の準備から始めてはいかがですか?
しばらくは大人が横で手伝ってあげてもかまいませんが、なるべくは子ども本人にさせるようにします。時間をたっぷりとって、丁寧に教えていくことがコツです。
通園バッグの中に、ハンカチ、ティッシュ、連絡帳など必要なものを入れ、家に帰ったら、園からのお知らせなどは取り出して親に渡すことなどを、いまから習慣化させておきましょう。
ホワイトボードなどで「持ち物チェックリスト」を作り、準備ができたらお気に入りのマグネットでマークするなど、子どもがわかりやすく、楽しみながら出来るよう、工夫をしてあげるのもいいですね。
早生まれの子供には暖かいバックアップを
子どもの発達は数カ月でも大きな差があります。「小学校に入る頃には、早生まれの差はほとんどない」という人もいますが、そんなことはありません。数々の調査によって、個人差はあるものの、一般的にはその差は中学卒業時頃まで残るとわかっています。特に年少時の発達差はとても大きいので、小学校入学時には、早生まれの子どもは体格、運動能力、理解力すべてにおいて、4〜7月生まれの子どもに差をつけられてしまいます。
早生まれの子どもが、みんなに遅れてしまうのは当然なのですが、残念ながら、日本の学校ではほとんど配慮されていないのが実情です。ちなみに、欧米の多くの国では、早生まれの場合、いつ入学させるかは、親が幼稚園や保育園などの先生と相談しながら決めることができるそうですよ。
早生まれの子どもの場合、親はそのことを常に意識して、他の子どもと比べず、暖かくバックアップしてあげてくださいね。
入学が近づくと、子どもたちは、周りの大人から「もうすぐ1年生だね」と声をかけられることが多くなります。子どもにとって嬉しい言葉ですが、それと同時に不安とプレッシャーを感じることも多いそうです。
もし新入学に向けての準備が順調にすすまなくても、「もうすぐ小学生なのに、〇〇できなくちゃだめだよ」という言い方はしないよう気をつけてくださいね。
新入学を明るいイメージでスタートさせることがなにより大切なのですから。
まとめ
・早寝早起きで生活リズムを整える
・ひらがなは読めるように、名前は書けるように
・自分の持ち物を管理できるようにする
・早生まれの子どもには暖かいサポートを
・新入学を明るいイメージでスタートさせることが最優先
参考図書
石田一宏(1999)「子供の生きる力 思春期を生きる力」大月書店
金子保(1985) 「早生まれはソンをする」 サンマーク出版
神山 潤(2005)「「夜ふかし」の脳科学―子どもの心と体を壊すもの」 中公新書ラクレ