中には、正確な情報から外れた批判もあり、的外れな印象を与える書き込みも見られます。
一方で、トランプ氏を後押しするような偽のニュースを流すサイトの記事がSNSを通じて拡散され、「選挙結果に影響を与えた」という報道もあります。
年始に行われた記者会見では、批判的なメディアを遠ざける言動をトランプ氏は行っており、今後健全な報道が行われるのかという疑問もあります。
今回はトランプ氏のSNSに於ける発言や関連する報道から学び取れる、SNSが招く情報混乱と正しく向き合っていく為の方法を考えていきます。
【一方的な情報の発信】
トヨタに関する問題

doddis77 / Shutterstock, Inc.
「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ氏にとって、海外への雇用流出は避けたい問題です。
しかし、その為に行われる発言が一方的に行われ、相手方と話し合いの場が出来ていないという問題があります。
今年に入ってから書き込まれたSNSのコメントとして、「日本の大手自動車メーカーであるトヨタがメキシコに工場を作る」事に対しての批判がありました。
内容は「米国内に工場を建てず、メキシコに工場を建てて米国へ輸出するなら、相応の関税を支払え」というものでした。
現在、北米自由貿易協定(NAFTA)により「アメリカ・カナダ・メキシコ間の関税が撤廃」されている為、北米に於ける生産拠点は人件費の安いメキシコに集中する傾向があります。
トランプ氏は、これによって「米国の雇用が減ってしまう」事を懸念し「対策が必要」と主張してきました。
北米大手自動車メーカーのフォードもトランプ氏の批判を受けてメキシコへの工場移転を白紙撤回し、アメリカ国内に新工場を建てる方針へ変更しています。
しかし、自動車メーカーも北米だけで販売を行っている訳ではなく、世界戦略に見合った場所に工場を設ける必要があります。
加えてSNSにおける発言は、大統領として政策を立ち上げるには信ぴょう性に欠けるという点も忘れてはいけません。
大統領就任に伴い行われる「一般教書演説」を連邦議会両院に行い、その内容が確認されるまで「トランプ次期大統領がどの様な政治を行うか」は明確には分かりません。
演説後には議員による議論が行われる場合もあり、立法には議会の決議が必要なため無作為な発言は出来ないと考えられます。
一方的な情報発信は、例え本来と違う意味に受け取られても覆す前に拡散してしまう為、信ぴょう性の確認を行う前に広まってしまう事が多いのです。
トランプ次期大統領の場合は政治戦略の一環として行っている可能性も否定できず、これに流されてしまう事は米国の外交政策に対して主導権を握られてしまう事と同じでしょう。
【誤情報の拡散】
デマ・流言にご用心
東日本大震災直後、被災地で外国人犯罪が横行しているというデマが流れ、多くの住民が信じた。仙台市民を対象に実態を調査した郭基煥(カクキカン)東北学院大教授(共生社会論)は、情報の冷静な選択や事前の教育の充実を訴える。河北新報2017年01月16日
人々の混乱に乗じて流された情報は、それがデマであっても人々を混乱に陥れる可能性があります。
またインターネットによって「様々な情報を探せるようになった」反面、「好きな情報しか見ない」という選択が出来る様になりました。「SNSを通じて自分に有益な情報を他人に向かって発信できる」様になった事も一つの要因です。
特に情報の発信の際には、「不確実な情報」が人を介して伝わる過程において、真実の情報として扱われるようになり、「パニックを引き起こす」といった影響力を持つ場合があります。
昨年の熊本地震でもSNSから拡散されたデマが問題となりました。
必ずしもメディアが正しい情報を流しているというわけではありませんが、現代を生きる人には「情報が溢れており、容易に入手できる」状況の中で、「何が正しい情報なのか?」を見極める能力が必要となります。
逆に、「好きな情報しか見ない」という人の考えを利用すれば情報操作を容易に行えるという事です。
トランプ大統領が就任した後は、実際の行政活動とは別のところでSNS等を用いた扇動的政治活動が行われるかも知れません。
これにより、本来は行政機関が「やろう」とした政策が変更される可能性もあります。
日本でも同じ轍を踏まないよう、情報は複数の情報源で確認して、「何が正しいのか?」を判断していきましょう。
また、情報源を確認することも一つの手段であります。
そして、自分が情報を発信する時は、他人に誤解を与えない様に気を付けましょうね。
【まとめ】
・偽ニュースがSNSで拡散され、真実の様に扱われる事がある
・複数の情報源を調べ、真実を見極める事が重要