みなさんは、スマホ火傷についてご存知ですか。近年、国民生活センターにスマホが原因による火傷の相談が急増しています。火傷といっても高温ではなく、低温火傷がほとんど。低温と聞くと、高温で火傷するよりも軽いものだと思われがちです。
しかし、低温火傷を甘くみてはいけません。低温火傷はじっくりと皮膚が焼けるため、場合によっては高温で火傷するよりも厄介だと言われているからです。
休憩中や通勤時、休みの日や夜寝る前など、あらゆるシーンでスマホは使用されていますよね。つまりスマホ火傷のリスクは、いつでも誰にでもあるということです。辛い思いをしないためにも、今回はスマホ火傷について詳しくご紹介いたします。
スマホ火傷の実態

国民生活センターが運営するPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)には、スマホの発熱についての相談が多く寄せられています。平成21年には2件だったのに対し、平成24年には523件となり、相談件数が急増しているのです。
平成21~25年までに寄せられた相談は1032件。うち、火傷をしたり火傷になりそうだったというものは268件でした。
スマホ火傷についてさらに詳しくみていくと本体使用中、もしくは充電中の発熱は268件のうち165件で全体61.5。その中で、64件(38.8%)が顔や手指に火傷を負ったというものです。また、充電中に充電端子が発熱や焼損したというケースは65件で24.4%。そして充電中の発熱、焼損による火傷は11件(16.9%)起きています。
いくつかの事故事例を見ると、スマホを側に置いて就寝したことで低温火傷。日常的に使用していたことで指を低温火傷、約8分間通話したことで頬を低温火傷というものでした。
事故事例によると、スマホ火傷の多くが低温火傷だということが分かりますよね。
そもそも低温火傷とはどのような症状なのか、ご存知ない方もいるかもしれません。低温火傷とは、心地いいと感じるくらいの温度に長時間触れることで起こる火傷のことです。低温火傷と聞くと、高温のものに触れて火傷をするよりも軽度だと思われがちです。
しかし実際は、低温火傷のほうが症状は重い場合があります。高温による火傷は、咄嗟に熱源から離れるため熱に触れる時間は短いですよね。一方低温やけどは、じっくりと時間をかけて焼けるので深い部分まで火傷をしてしまうのです。表面だけの火傷だと思ったら、実は重い症状だったというケースが少なくありません。
次に、国民生活センターが行ったスマホの発熱に関する実験を見ていきましょう。
スマホを操作していないときは、スマホに異常は見られません。しかし、アプリやテレビ電話を約10分間使用すると、スマホの表面上部は約54℃まで上がりました。背面では、約58℃まで上昇していることが判明したのです。
発熱する原因は、内部回路への負担が大きいことが考えられます。50℃程度だと、数分で火傷に至る可能性があります。そこからさらに長時間使用すると、気がつかないうちに低温火傷が起こることがあるので注意が必要なのです。
スマホ火傷を防ぐ為の対策

スマホを使用するときは、充電の有無に関わらず肌に長時間密着させないようにしましょう。就寝中に充電しているスマホを側に置いておくと、気がつかないうちに肌に触れてしまい低温火傷のリスクが高まります。また、スマホが熱くなったときは使用を控えましょう。この二つが、スマホ火傷防止策として有効です。
総務省の平成30年通信利用動向調査によると、スマホの普及率が一気に増加しています。平成22年では、スマホの普及率は9.7%でしたが、翌年の平成23年では29.3%、平成24年には49.5%というように年々高くなり、平成30年では79.2%で約8割まで増加しました。この結果から、スマホを利用する方が増えるとそれだけ火傷を負う人が増えるのではないかと推測できます。スマホ火傷は他人事ではなく、誰でも起こりうる事故だということを忘れてはいけません。
まとめ
・スマホ火傷は低温火傷の症状が多い
・スマホのアプリやテレビ電話などを10分使用すると50℃以上発熱する
・肌に長時間密着させない、スマホが熱くなったら使用を止める
参考サイト
◆千葉県「スマホで低温やけど?!」
◆独立行政法人 国民生活センター「スマートフォンが発熱?」
◆総務省「平成30年通信利用動向調査」
◆公益社団法人 日本皮膚科学会「やけどとは?」