災害や内紛が起こり、避難所などに逃げ込んできた人にとってもっとも大切なのは、「身の安全」です。
しかしそれが守られた後には、「避難所での人間らしい生活」を考える必要が出てきます。これは、災害関連死(災害が起きたことにより肉体的・精神的なストレスが起きたり、治療が後手に回ったりすることによって起こる死)を避けるためにも非常に重要な事です。
そのうちの一つの基準となるのが、「スフィア基準」です。
ここでは、スフィア基準の具体的な数字について見ていきましょう。
人にはスペースが必要である
「寝るだけのスペースがあればいい」
「カプセルホテルなどもあるから、2メートルあたりくらいあれば十分」
と考える人もいるかもしれません。
しかし避難所は、「1泊だけ泊まる場所」ではありません。多くの場合、避難所で数日間過ごすことになります。東日本大震災についてとった統計では、「その日のうちに対処できた」と答えた人の割合は、わずか15パーセントにすぎません。また、自分が選んでカプセルホテルに泊まる場合と、突然の災害で家を後にしなければならなかったときでは、精神的なストレスも段違いです。
避難所でのスペースは、1人あたり3.5㎡程度のスペースを確保する必要があります。畳二畳ほどの広さが必要とされているのです。また、最低限のプライバシーを守るための間仕切りがあるとなお良いとされています。
トイレの数について
災害が起きたときに確保しなければならないのは、飲食物だけではありません。
「トイレ」についても同じことがいえます。
学校などでは、男女のトイレの数が等しく設けられていることが多いでしょう。しかし実はスフィア基準に照らし合わせれば、女性のトイレの数は男性の数の3倍以上必要だといわれています。
排泄方法の違いだけでなく、生理の処理などもあるからです。
災害が起きた場合、避難所のトイレも被災し、壊れることもあります。このため、簡易トイレなどの利用が強く求められています。トイレが行列になったり汚れたりして使いたくないということで飲食を控える人もいるため、トイレの整備はスフィア基準のなかでも特によく取り上げられる項目です。
ちなみに、トイレまでの距離は50メートル以内が望ましいとされています。
まとめ
・避難所ではある程度長期間滞在する必要がある人が多い
・スペースの確保は大切。居住部分は3.5㎡以上で、しきりがある方が望ましい
・スフィア基準では、女性トイレの個数は男性トイレの3倍必要としている。
・簡易トイレなどの使用も望まれる。トイレまでの距離は50メートル以内がよい
参考サイト
◆HUFFPOST:「日本の避難所は難民キャンプ以下? 最低限の安全を守る国際基準「スフィア基準」とは」
◆内閣府:「避難に関する総合的対策の推進に関する実態調査結果報告書」
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