「スフィア基準」という言葉は、西日本集中豪雨の際にマスメディアによって積極的に取り上げられるようになった言葉のうちの一つです。
では、この「スフィア基準」は、現在の日本でどれくらい知れわたっているのでしょうか?
日本人の国民性の問題を指摘する声も
日本は地震などがあったときでも、その復興が極めて早い国だといわれています。また、それぞれの人が辛抱強く災害にあたる様を、動画などで見たことのある人も多いかもしれません。
これは日本人の紛れもない美徳でもあるのですが、スフィア基準を周知させるうえでは、これが問題になってしまっているという専門家のコメントもあります。
「みんなが大変なのだから、自分もがまんしなければならない」という意識が強く出すぎて、「快適な環境」を作ることに二の足を踏んでしまう人も多いと専門家は指摘しています。
「避難所の環境は悪くて当たり前」
「みんなが我慢しているのだから、自分も我慢しなければならない」
「トイレに行きたくないから、食べる量を調整すればいい」
という考え方が、スフィア基準の広まりを抑制しているのかもしれません。
スフィア基準の運用について

写真提供:有限会社トゴス
また、現実問題として、「広いスペースを確保すること」「トイレの数(特に女性)を増やすこと」は、なかなか難しいものです。
ただ現在は、ダンボールを使って簡素なベッドを作ったり、簡易トイレの利用などが勧められていたりします。
また、2016年に起こった熊本自身の際には、布と筒、そして粘着テープだけを使った簡素な「個室」が提供されていました。これによって、「個室」という概念が、避難所に生まれたのです。時間もほとんどかからずに提供されたこの「個室」は、マスメディアにもとりあげられました。
避難所には、どうしても「スペース」の問題はあります。物理的に収容できる人数は限られていますし、多くの人を抱え込もうとすればそれだけ1人あたりのスペースが少なくなります。
ただ、このような状況でも、できる限り快適に暮らせるように、さまざまな工夫や知識駆使することが求められています。
まとめ
・スフィア基準が広がらない原因の一つとして、日本人の「我慢強い」という国民性があると指摘する声もある
・西日本集中豪雨のときにスフィア基準という考え方がよく取り上げられるようになった
・ダンボールを使ったベッドや簡易トイレ、筒と布を使った簡易個室など、さまざまな工夫が災害のたびに取り上げられている