2018年の6月の終わりから7月の初めにかけて、西日本を中心とした猛烈な豪雨被害が起きたことは、記憶に新しいかと思われます。
平成の世になってから30年、歴史に残ることとなったこの豪雨被害は多くの被害をもたらしました。
助かった人たち、避難所で暮らす人たちの環境に対して配慮すべきだという声が挙がったことも、印象深い話でしょう。
今回はそんななかで注目された、「スフィア基準」について取り上げます。
スフィア基準とは何か
スフィア基準とは、「避難所などで暮らす人のために、定められた基準」のことを指します。
災害が起きたときにもっとも重要なのは、まずは「生命の安全を守ること」です。
救命やけがの手当てはまず真っ先に考えられるべきものですし、それ以上に優先されることはありません。
ただ、その後に考えられるべきは、「避難所での生活」です。
助かった人の多くは、避難所などで暮らすことになります。しかし、大勢の人が集まるうえ、トイレやスペースなどが十分に確保できない環境下のなかでは、人は大きなストレスにさらされることになります。
実際、東日本大震災では、「震災関連死(避難所での生活やそこまでの移動が精神的・肉体的ストレスとなって死亡にいたるケース。また、これ以外にも、病院が機能を停止したことによって、初期段階での治療ができずに死亡にいたったケースも含まれる)」が1600件以上報告されました。
人権や生命を守るためには、避難所での生活の在り方も考える必要があります。
その基準となるのが、「スフィア基準」なのです。
スフィア基準の歴史
細かい数字はほかの記事に譲るとして、ここではスフィア基準の歴史について見ていきましょう。
これは1990年代に起きた考え方です。
冷戦の終結は歴史と人々、そして国にさまざまな影響を与えました。もちろん良い方向に変わったこともたくさんありますが、内紛の発生によって難民が増えたのも事実です。
しかし彼らのなかには、人間的な環境のなかで暮らすことが難しい人もいました。
これを重く見た国際赤十字などが、「スフィア基準」を作ったという歴史があります。人間が人間らしく生きるための最低限の基準を定めたこのスフィア基準は、現在でも国際的に使われています。
まとめ
・「スフィア基準」とは、人が人らしく生きるために必要なスペースなどを定めた基準である
・1990年代にこの考えが起きた
・実際、命が助かったのに、避難所などでの生活が精神的・肉体的ストレスになって命を落としている人もいる
参考サイト
◆HUFFPOST:「日本の避難所は難民キャンプ以下? 最低限の安全を守る国際基準「スフィア基準」とは」
◆NHK:「避難所の女性トイレは男性の3倍必要~命を守る「スフィア基準」」
◆復興庁:「東日本大震災における震災関連死に関する報告」