2016年7月31日の午後4時20分ころ、神奈川県厚木市の相模川にて6歳の男の子が流されて溺れてしまい意識不明の重体となる水難事故がありました。
この時、息子を救助しようとした父親も流され病院に運ばれましたが、父親は命に別状はなかったとの事です。
翌日の8月1日午後2時半ころにも三重県松坂市の櫛田川(くしだがわ)で遊んでいた7歳の女の子が溺死するという悲しい事故が立て続けに起こりました。
どちらの場合も周りに大人が居て、河川の中で遊んでいる子供を見守っている状態で起こってしまった水難事故です。
では、どうして水難事故は起こってしまったのでしょうか?
子供は何が原因で突然足が引っ張られるようにして流されて溺れてしまうのでしょうか?
その原因を考えてみました。
川の「流れ」と「深み」の怖さ
一見浅く穏やかに見える河川でも危険な場合がある
今回紹介した水難事故のうち、女の子が見つかった時に2メートルほどの深さがある川底に沈んでいる状態で見つかったとの事です。
突然、遊んでいた姿が見えなくなった……とのことから、川の深さが急に深くなり、流れが早くなっている場所に入ってしまった事が考えられます。
河川は地形を削りながら流れています。
その為、削る力が強い場所ほど深くなる傾向があります。
例えば川の中心付近は流れる水の量が多くなるので、必然流れが早くなり深く川底が削られて、泳ぐには危険な場合が多いです。
また、川が蛇行している場合はカーブの外側程流れる勢いが強くなり、深くなっていきます。
これは川が本来まっすぐ流れようとしているところを地形が邪魔して曲げてしまっている為で、無理に曲げられた水の流れはカーブの外側を深く掘り下げながら勢いよく流れています。
河川は場所によって、上流から流れて来た石や岩が蓄積して一見浅く見える場所もあります。
ですが流れが衰えている訳ではありませんので、足をすくわれてしまうと大人でも瞬く間に深みまで流されてしまう事があります。
まして子供の場合、体重が軽いので流されやすいことは想像に難くありません。
7月31日に流された男の子は水深20cmほどの浅瀬で遊んでいたところを、流れに足を取られてしまった……との事で、浅く見えても川の流れが早い場所で遊んでいた事が考えられます。
水難事故を防ぐ為の注意点
事前の準備と下調べをしっかりして、危険な場所は避けよう!
水難事故は穏やかに見える河川でも起こってしまいます。
しかし、次の事に気を付ける事で事故に遭う可能性を減らす事が出来ます。
まず、川へ行く前に天気予報を確認するようにしましょう。
そして遊ぶ場所の周辺だけではなく、その上流の天気にも十分気を付けましょう。
たとえ川に入る場所では晴れていても、上流で雨が降ると急に水が流れる量が増える事があります。
「鉄砲水」という一度に大量の水が急に流れてくる現象もあるので、上流で強い雨が降っている場合は河川に近づくのを避けましょう。
上流の方角に黒く厚い雨雲が見えたり、落ち葉や流木が突然数多く流れてきたりするといった兆候も危険のサインなので、見つけたら周りの人にも声を掛けながら川から離れるようにしてください。
大きな河川に入る時には事前の準備が必要です。
例えば、深い河川であればライフジャケットを用意して、万が一流されても沈まないようにするという備えが重要になります。
また、川に入らなくても雨の影響などで増水すると川原が流れに取り残され、脱出出来なくなる事があります。
過去には上流の集中豪雨を受けて川が急激に増水し、河川敷にいた16人が流されてしまい、うち5人もの方がなくなった2008年7月の兵庫県神戸市「都賀川(とががわ)水難事故」という大きな災害もありました。
増水すると危険な場所や流れが早い場所はパンフレットや看板で案内されている事がありますので、見かけたら注意するようにしましょう。
夏場は涼しげな川でゆっくり過ごしたくなりますが、河川は常に危険も潜んでいる場所です。
水難事故を防ぐ為に準備を整え、危ない場所に近づかないようにして楽しんでくださいね。
まとめ
河川は一見穏やかに見えても、急に深い場所や流れが早い場所がある為、注意が必要。
- 河川へ遊びに行く前には天気に注意して、危険とされている場所では泳がないといった心がけをするようにしましょう。
参考
- 河川水難事故防止! 川で安全に楽しく遊ぶために(国土交通省)