2016年12月4日の午後0時45分頃、東京都内を走る山手線の電車内で携帯電話用の充電器より煙が出て運転を見合わせるというトラブルがありました。
幸いな事に乗り合わせていた乗客がペットボトルの水を掛けて消火していますが、一歩間違えれば大きな火災事故となってもおかしくない事件でした。
また韓国のサムソン電子が発売したスマートフォン「ギャラクシーノート7」が米国サウスウエスト航空の飛行機内で発火し運行中止となり各国の航空会社で持ち込み禁止となった事件や中国などでスマートフォンが発火する、バッテリーが異常な膨張を起こして熱を持つといった事件がありました。
耳に寄せて会話を行うスマートフォンが発火したり破裂する危険性を持っていると考えると使うのを躊躇してしまいますが、今回はスマートフォンのバッテリーを安全に使う方法をご紹介します。
バッテリーの危険性
高密度のエネルギーが詰まっている。
ノートパソコンやスマートフォンの電源として日常的に使われているリチウムイオン二次電池ですが、これには高密度のエネルギーが蓄えられています。
身近な例として単三のアルカリ電池と比較してみましょう。
(参考BAYSUNリチウムイオン電池の話)
・リチウムイオン二次電池
サイズ:18650、φ18.3mm×65mm
容量:2.4Ah
体積エネルギー密度:520Wh/L
・単三アルカリ電池
サイズ:φ14mm×50mm
容量:0.73Ah
体積エネルギー密度:109Wh/L
純粋に大きさの違いという問題もありますが、内包するエネルギー量は5倍近い違いがあり、掛けられる電圧も3倍ほどの差があります。
それだけ大きなエネルギーを小さな電池の中に内包している為、圧力や衝撃によって熱エネルギーとして開放される危険性があります。
放電を繰り返す事で、媒体となる電池本体が膨張していき急激な変化に耐えられなくなると異常膨張を起こしたり最悪破裂してしまいます。
電池に用いられているコバルト酸リチウムやマンガン酸リチウムは人体に触れると害を及ぼす可能性があり、注意が必要です。
バッテリーを安全に使う為に
過剰充電に注意
スマートフォンの電池を充電する時、いざという時になくならない様に満タンまで充電していませんか?
実は満タンまで充電する行為は、小さな電池の中にエネルギーを詰め込むのと同じ事で長持ちさせるという視点からも良い事ではありません。
例えるなら、風船に限界まで空気を吹き込むのと同じ行為で、ちょっとした衝撃や圧力で破裂する危険性を内包しています。
日本では過充電に対する安全策を施された電池が販売されており、すぐに問題が起こる訳ではありませんが、電池を大切に扱うという意味から過剰な充電は行わない様にしましょう。
また、サムソンのスマートフォンやNTTの携帯などに使われていたSED製のリチウムイオン二次電池で起きていた問題は、電極が損傷していたり電池内部に異物が入っている事でプラスとマイナスの電極が接触している状態になり、異様な熱を発生するというものでした。
この現象を短絡(ショート)と言いますが、エネルギー量の大きなリチウムイオン電池では発火や破裂といった大きな事故に繋がってしまいます。
衝撃や圧力によって電極の損傷や異物混入が発生する事があり、サムソンのケースでは余裕のない設計が問題を引き起こしたのではないかとされています。
普段使っているスマートフォンも過剰な圧力を掛けたり衝撃を加えると発火する危険性があるかもしれないので、落としたり尻に敷いたりしないよう気を付けましょう。
スマートフォンは今では生活に欠かせない存在となっています。
バッテリーを含めて正しい使い方を覚えて快適に使いましょう。
まとめ
・リチウムイオン二次電池はエネルギーの塊
・過剰に充電しない様に注意
・圧力や衝撃を加えない様に注意