気温や湿度が高くなる夏場は、食中毒の原因となる細菌が増えやすくなる時期です。厚生労働省の調査によると、5月~9月にかけて細菌由来の食中毒が増加していることがわかります。
細菌由来の食中毒は生肉を食べた時に感染することがあります。今回は生肉を食べた時に起こりやすい食中毒被害についてご紹介しますので、肉の食べ方や調理法について見直してみませんか?
生肉を食べた時に起こりやすい被害とは
カンピロバクターによる食中毒

カンピロバクターは鶏や牛などの腸内に生息する細菌です。カンピロバクターによって汚染された食品や水を介して感染します。鶏や牛の肉は汚染されている可能性が高く、主な感染ルートとなっています。
カンピロバクターに感染すると、発熱・頭痛・下痢・血便・吐き気・嘔吐などの症状が現れます。健常な大人は1週間程度で回復しますが、乳幼児・高齢者・抵抗力の弱っている人は重症化することがあり、注意が必要です。
カンピロバクターは少ない菌量でも感染し、潜伏期間は2日から7日です。
腸管出血性大腸菌による食中毒

腸管出血性大腸菌(O26・O111・O121・O157など)は牛などの家畜の腸内に生息する細菌で、汚染された食品や水などを介して感染します。国内では肉の生食時や加熱不十分の肉を食した時に感染した事例が報告されています。
腸管出血性大腸菌が体内に侵入すると、腸内で「ベロ毒素」と呼ばれる猛毒を作ります。腸管出血性大腸菌に感染すると、下痢・腹痛・発熱・嘔吐などの症状から始まり、続いて激しい腹痛や血便を伴う大腸炎を引き起こします。重症化すると血性尿毒症症候群や脳症を引き起こし、死に至ることがあります。子ども、妊婦、高齢者、抵抗力の弱っている人は特に注意が必要です。
腸管出血性大腸菌は少ない菌量でも感染します。潜伏期間は2日から7日です。
生肉による食中毒を予防する方法

カンピロバクターや腸管出血性大腸菌は熱に弱い細菌です。したがって、生肉を調理する時はしっかりと加熱処理を施すことが重要です。肉の内部が75度以上で1分間加熱されるようにしましょう。
肉の生食は、生食用食肉と呼ばれる規格基準を満たしたものだけに限られます。生食用食肉の規格基準を満たしていない肉を生で食べる行為は絶対にやめてください。また、肉を生焼けの状態で食べることも、食中毒に感染するリスクを高めます。焼肉やバーベキューをする時はしっかりと肉を焼くようにしましょう。
まとめ
・生肉は細菌による食中毒を引き起こすことがある
・肉を食べる時はしっかりと火を通す
・肉の生食は生食用食肉に限られる
参考サイト
◆政府広報オンライン「ご注意ください!お肉の生食・加熱不足による食中毒」
◆愛知県衛生研究所「カンピロバクター食中毒」
◆厚生労働省「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」
◆厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」