食中毒は、調理時の心掛け一つで防げることが多いです。食中毒になると吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、発熱などの症状が現れます。軽症であれば2~3日以内に自然治癒するでしょう。原因菌にもよりますが、重症の場合でも適切な治療を受ければ回復が見込めます。
しかし中には、食中毒によって死亡したケースがあります。平成30年の食中毒発生状況を見ると、患者数の総数17,282人のうち、死者数が3人。平成29年も食中毒による死者が3人となっています。
食中毒を甘くみてはいけません。命を守るためにも、食中毒を予防する三原則を守りましょう。
食中毒を予防する三原則とは
「つけない」「増やさない」「やっつける」が、食中毒を予防する三原則です。食品を保存するときや調理時に意識すると、食中毒のリスクが軽減されます。
・つけない

調理前の手洗いや調理器具を清潔に保つことを徹底し、食品に菌をつけないようにしましょう。
肉類や魚介類といった生鮮食品が触れたまな板や包丁を使い、生で食べる食品を調理するのは危険です。調理器具を介してではなくても、生鮮食品を触った手で食品に触れても菌はうつるので要注意ですよ。まな板や包丁は、生鮮食品用と野菜用、もしくは肉用と魚用、野菜用の3つに分けると安心です。まな板を使いまわすのであれば、使用後によく洗い菌をつけないようにしましょうね。野菜類を先に洗い、最後に生鮮食品を切るようにしてもいいでしょう。
そして、使用した調理器具は隅から隅まで丁寧に洗浄し、漂白剤や熱湯で消毒します。熱湯消毒をする際は野菜の茹で汁では逆効果なので、新しい水を十分に沸騰させてたっぷりと調理器具にかけることがポイントです。ふきんも忘れずに洗浄・消毒しましょう。
それから手は小まめに洗い、二次感染を予防します。調理中にトイレに行ったり、鼻をかんだときはその都度手洗いをしてください。手指を怪我していたり、手荒れをしているときは使い捨て手袋を使用するか、菜箸で食品を扱いましょう。傷口には黄色ブドウ球菌が存在するからです。黄色ブドウ球菌は傷口を化膿させる原因となり、その手で食品を触ると食中毒リスクを高めます。耐熱性が高く毒素は残るので、黄色ブドウ球菌を食品にうつさないことが必要です。
他にも食材は流水で洗い、菌が再びつかないようにすること、野菜を先に洗ってから生鮮食品を洗うことも大切です。生鮮食品から洗うと水しぶきに含まれた菌がシンクについてしまうので、小まめにシンクを洗い常日頃から清潔に保つことも心掛けましょう。
・ふやさない
食品は常温ではなく、低温で保存しましょう。調理済みのものをテーブルに置いておく人は多いのではないでしょうか。
常温で放置してしまうと、菌が増える危険性がありますよ。サラダも例外なく菌が増殖するので、油断大敵です。
また、食べる度に冷蔵庫とテーブルを往復させるのも菌が増える原因になります。食材は小分けにし、食べる分だけテーブルに移動するといいでしょう。
・やっつける
食中毒予防として、加熱して殺菌することを心掛けます。75℃で1分以上加熱し、中までしっかりと火を通すのです。ノロウイルスを予防するなら、85℃以上の熱湯で90秒以上の加熱が必要です。
その他のポイント

三原則の他にも、購入時には食品の鮮度に気をつけること、生鮮食品は買い物の最後に購入すること。小まめに買い物に行き、買いだめをしないことが食中毒予防になります。
冷蔵庫にいれていても菌は増殖するので、購入したら早めに使い切りましょう。賞味期限や消費期限を確認し、期限を守ることも大切ですよ。
保存してから時間が経った食品や臭いが気になるものは思い切って捨ててくださいね。
まとめ
・食中毒予防の三原則はつけない、ふやさない、やっつける
・食中毒は調理時の段階で防げることが多い
・手洗いと調理器具を清潔に保つことが食中毒予防になる
・手指のケガをしているときは素手で食品に触れない
・食材は低温で保存
・中まで十分に火を通して殺菌する
参考サイト
◆東京都福祉保健局「食の安心パトロール」
◆厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」
◆厚生労働省「食中毒統計資料」